タイで頻発する爆発物事案

本ブログでは在タイ日本大使館からの緊急メールを転載していますが、その内容でも分かるように最近のタイでは爆発物事案が頻発しています。先月から発生したものだけでも以下のような事案が発生しています。

日時 出来事
4月7日 バンコク都内のラチャダムヌンクラン通りで、路上のごみ箱に仕掛けられた手製爆弾が爆発し、近くにいたバンコク都庁の清掃員2人が軽いけが
5月9日 南部パッターニー県のスーパーマーケット、ビッグCで爆発、数十人が怪我
5月15日 王宮近くのタイ国立劇場前で少規模な爆発。2人が軽いけが
5月19日 バンコク・イラン大使館前で男性が焼身自殺未遂
5月22日 バンコクの軍人用病院、プラモンクットクラーオ病院の待合室で爆発、24人が怪我

2015年にバンコクのエラワン廟で発生した爆発物テロもまだ記憶に新しいところですが、それ以降も散発的に発生していました。しかしここ最近に関しては、その頻度が上がってきているように感じられるのは心配されるところです。

タイ南部ではイスラム教を信奉しタイからの分離独立を主張する勢力が断続的にテロ事件を起こしていますが、それ以外のバンコク都内でのテロに関してはタイの政局に関係していると思われるものがあるのが心配されるところです。

5月22日の爆発物事案の現場(タイ内務省公開)

タイでは本年4月に予定から大幅に遅れて新憲法が発効されました。2014年に軍事クーデターによって政権を握った現軍事政権は、新憲法を施行した上で2016年前半に総選挙を実施するとしていました。しかし実際に新憲法が施行されたのは本年4月になってからで、総選挙の実施時期に関してはいまだ決まっていません。

また新憲法の内容も民政移行期間の5年間は上院議員は軍が指名することとなっており、首相は議員でなくとも選出可能で軍が国政に関与する仕組みとなっています。また公選制の下院も大政党に不利な選挙制度となっており、旧タクシン派を狙い撃ちしたとも言える内容になっています。そのため新憲法の内容には不満を持つ勢力も多いようです。

軍事政権はこの3年間、治安維持を名目として政治活動を禁止し、厳しい言論統制をおこなっており、不敬罪を名目とした逮捕者は100人を超えています。そのため表立っては平穏を保っているバンコク都内も、不満のマグマが蓄積している状況とも言えます。頻発する爆発物事案もこうしたマグマが散発的に噴出している動きのようです。

まずは確実・完全な民政移行を果たし、以前のような過激な騒動に発展しないことを切に願いながら状況を注視する日々です。

2 responses on タイで頻発する爆発物事案

  1. あさと より:

    確かに爆発は今までにない頻度ですね
    爆発=ムスリムと断定するのは難がありますが
    爆発という手段がムスリムの一派が使う方法だということは
    世界的に見ても多くみられますね

    1. ま~く より:

      あさとさん

      ムスリムのテロの場合は、事後に犯行声明が出るのが通例ですが、タイ南深部のテロ意外ではそういったものは出ていません。場所がバンコクの人が集まるところになりますので、注意が必要ですね

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