宴の終焉 -タイ・イサーン疎放録 Vol.14-

タイ時間でそろそろ日付が変わろうかというころになっていったん大音量の演奏がとまります。そして故人の親族が遺影を持ってステージに上がります。故人の息子と娘、その配偶者たちです。するとモーラムシンの楽団の団長風の女性が一家の事を来場者に紹介し、お経を唱え始めます。そのお経に合せて親族は合掌し頭を下げます。時間にして5分ほどで顔見世は終わり、親族はステージを降ります。

もう時間も時間ですし、これで今日の行事は終わりなのだろう、そう思っていました。ところが意外な光景が展開されます。歌手たちがステージ上に戻ると何事もなかったかのように再び演奏を始めたのです。そのまま、延々と大音量の演奏を続け、気がつくと時計の針は2時半(タイ時間)を回っています。日本であったらこんな深夜の時間に、大音量で演奏していたら確実にクレームをする人が出そうですが、イサーンの人たはお構いなしのようです。

いったい何時までこの演奏は続くのだろうと思いながら、今回の法事の主催者の家の縁台で小生はスマホでこの日に撮影した写真をチェックしていました。その時です、急に会場の方から何か叫ぶような声が聞こえてきます。そして次の瞬間、パン、パンという乾いた音が4回聞こえました。あれほどの大音量だった演奏はパタリとやんで、代わりに騒然とした空気が広がります。

するとすぐに小生のいる場所に男女2人が連れてこられます。見ると女性は右手の中指と人差指、男性は背中から血を流しています。二人ともかなり痛がっています。周囲の人に何事かと聞くと、パン、パンという音は銃声だったようです。怪我人の傷は銃創ではなく刃物によるもののようですが、幸いにも傷は深くなく軽傷のようです。ステージ上ではモーラムシンの楽団が淡々と楽器の片付けを始めています。

実は今回、モーラムシンの見学をするにあたり周囲からは、会場でのトラブルに巻き込まれないようにとの厳重な忠告を受けていました。その際の話しではイサーンで祭りがあるとかなりの確立でタチの悪い若者同士が酔っ払ってトラブルになるとの話でした。モーラムシンの楽団もある程度はそういう事態が起きるのは想定済で、会場で問題が起きればすぐに演奏は中止・撤収する取り決めになっているそうです。

そんなわけでモーラムシンの宴はあっけない形で終了することになったのでした。

大音量の演奏は日付が変わっても続きます。観客もみな帰るそぶりをみせません。

午前2時過ぎになると地味な服装の女性歌手が歌い始めました。どうやらこの人が団長のようです。歌唱力が高かったのですが、その後に事件が勃発しました・・・

6 responses on 宴の終焉 -タイ・イサーン疎放録 Vol.14-

  1. いはち より:

    おお。
    大事にならなかったようで幸いですね。
    戦後から昭和30年代前半には日本でも(一定の地域といったほうが良いでしょうか)
    有ったらしいです。武器は日本軍や米軍が残していったものですが。
    こちらでは武器をどのように調達したのかが気になりますね。
    無事に帰ってこられてよかったです。

    1. ま~く より:

      いはちさん

      スマホに没頭していたのが幸いしたようです。もし群衆と一緒になって歌を聴いていたら流れ弾に当たったという可能性はあったかもしれません。こういうときはイサーンの人もゲストにけがをさせてはいけないと思ったのか外国人の私は会場から離れたところに腕を引っ張られて強制連行となりました(笑)
      まぁ何事もなかったのはよかったです

  2. 餌釣師 より:

    稀な体験となってしまましたね。
    でも怪我がなく何よりでした。
    本物の銃声ってテレビドラマなどで聞くより結構乾いた?感じの音ですよね。
    (私はオープンエアの射撃場でしか聞いたことないですが)

    どこにも性質の悪い連中はいるものですね。

    1. ま~く より:

      餌釣師さん

      でも結局、このときは銃そのものは目にしていないんです。まぁ仰るように怪我がないのは一番でしたが

      TVの刑事ドラマなんかで聞く音と、実際の銃声は全く違いましたね。そのおかげで最初は何の音かすぐにはわかりませんでした・

  3. あさと より:

    いやあ怖いですねえ

    海外には他人の数倍行ってますが
    演習など以外で銃声を聞いた経験は
    三回しかありません
    映画のような
    バキューンという音はしないことは解るのですが
    次は自分かも……という恐怖感は
    本当に怖いですよね

    1. ま~く より:

      あさとさん

      海外で銃の現物を見たことは何度かありますが、銃声というのは初めての経験でした。このときは銃を見なかったので恐怖感はありませんでしたが、改めて考えると何もなくってよかったです


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