イサーンの子供医療(1) – タイ・イサーン冷涼録 Vol.43 –

今回のシリーズ名を「イサーン冷涼録」としましたが、そのタイトルにある通り小生がイサーンを訪れたときは寒かったのです。滞在先の隣街であるウボンラチャターニと首都バンコクの気温は以下のような感じでした。

 バンコク:最高気温34度、最低気温20度
 ウボン :最高気温30度、最低気温15度

バンコクと比べても、イサーンの方が寒いのがわかります。体感的には30度もあったかな、という感じでしたのでウボンラチャターニより北にある滞在先は、もう少し気温が低かったかもしれません。日が落ちた後に半袖で外にいると、寒さを感じたほどです。

Amnatcharoen 病院

こちらの写真を見ても半袖を着ている人がいないんです。また先日も掲載しましたが、アムナートチャルーンの移動市場に行ってもこんなものが売られています。

Amnatcharoen 移動市場

タイでこんな服が売られているとは思いませんでした。そんなこともあり小生の訪問当時、村では風邪が流行していたのです。そんななかお世話になっている家の子供が熱を出しました。やはり風邪のようです。そこで私の運転で隣村にあるクリニックに連れていくことになりました。

Amnatcharoen 病院

クリニックの中に入ると待っている患者は3人しかおらず、すぐに順番が回ってきます。行きがかり上、私も診察室に入ることになりましたが、そこには想像を絶する診察光景があったのです。

まず子供の母親が症状を女性医師に説明します。するとその話が終わらないうちに、「風邪ねぇ」と言い放ったのです。当の子供には一切触れてもいない段階でです。これには驚きを禁じえませんでした。その後、ようやく子供に向き合った医師は聴診器を取り出します。しかしなんと服の上から聴診器を当て始めたのです。服の上からで心音が聞けるのか疑問符が頭の中でいっぱいになります。最後に棚から薬を取り出し、袋に入れて診察は完了となりました。

結局、最後まで体温を測ることはありませんでした。日本とは違う診察光景に驚きを禁じえません。そして最後にもう一つ驚くことが待っていました。なんと診察料が無料なのです。なんでもこちらのクリニックでは子供の診察料は無料らしいのです。タイのほかの地域は分かりませんが、なんでもアムナートチャルーン県の公立病院では子供医療は無料だという事です。この点は素晴らしいと感じながらクリニックを後にすることにしました。

Amnatcharoen 病院

診療時間の案内です。小さいながらもいくつかの科があるようです

Amnatcharoen 病院

受付はこんな感じです。田舎の病院らしく緩い感じです。


8 responses on イサーンの子供医療(1) – タイ・イサーン冷涼録 Vol.43 –

  1. ハニー より:

    聴診器は服の上から聞こえるみたいです。というのは、私は何年も服の上からです。男性は真っ裸になるのかもしれませんが、女性は服の上からが多いと思います。一カ所の病院だけでなく、複数の病院・先生が服の上からなので、聞こえているのだと思います。

    1. ま~く より:

      ハニーさん

      コメントを頂いて気になったので少し調べてみました。
      服の上から聴診するのは何とか聴こえないことはないが、微細な音は聴こえないということのようです。また衣擦れ音などのノイズが入ったりなどの弊害はあるようです、ただ女性患者に直接の聴診が嫌がられたりセクハラ扱いを受けることがあり患者が女性の場合、服の上から聴診するということが広がっているようです。医師も女性患者の聴診というには頭を悩ませているようです。

  2. いはち より:

    私の同級生は児童の診察の時には必ず裸にします。虐待を受けていたりする事があるからなです。
    県内でも中三までは病院代が無料だったりする地方自治体も有るみたいですよ。
    実は私、かつて中国の地方都市で病院に行って薬を出してもらったんです。
    旅行保険の請求が面倒だったのかもしれませんが、「お前の国では、こんな診療に
    金を取るのか?」なんて言われてタダでした。

    1. ま~く より:

      いはちさん

      児童虐待がないか確認するためにというのはありますね。市町村長が実施している新生児訪問でも、訪問してきた保険師は必ず子供を裸にして身長、体重を計測します。新生児訪問での計測はあくまでも目安ですので服を脱がす意味はやはり虐待がないかを確認する意味合いが強いと思います。

      県内でも子供医療費の助成はばらつきがありますね。勝浦や鴨川なんかは義務教育が終了するまですべての医療費が無料です。私の住んでいるところでは、小学校入学前は1回の通院、1日の入院がともに300円です。小学校入学から義務教育終了までは親の所得が低い場合は乳幼児と同じ助成が受けられますが、一定以上の所得があると助成を受けることができなくなります。

      日本では助成券をもとに助成対象かどうかを判定しますが、記事に書いたタイでは特にそのような確認書類も必要なかったのは驚きました。

  3. あさと より:

    子どもと老人の診療費がタダというのは
    国にとっては大変重要なことだと思います
    (老人については諸論あると思います)
    特に乳幼児の死亡率の高い所は国の存続問題にかかわりますからね

    まあ医者も勘というより経験かもしれませんが
    余りそういう態度は良くないでしょうね
    医者と言う存在がどのようにとらえられてるのかは国によって大きく違います
    日本のようにちょっと普通より賢い人がなっただけとか
    金持ちのボンボンが親野智可等で史学の医学部に入って
    寄付金で卒業しただとか思われると
    ヘタな態度の診察だと誰も来なくなりますよね

    1. ま~く より:

      あさとさん

      おっしゃるように子供や老人の診療費については助成が重要だと思います。実際に私自身の経験でも、「風邪っぽいけれど、300円で済むから病院に連れていくか」と軽い気持ちで子供を連れて行ったら保健所に報告が必要な感染症にしていることが分かったなんてこともあります。抵抗力のない人には気軽に診療を受けることができる環境が必要だと感じました。

      タイのこちらの公立病院は、まぁタイらしいというかいい加減というかという感想です。実際にこちらの病院で処方された薬を飲ませても全く症状は改善しませんでしたし・・・・

  4. 餌釣師 より:

    へぇ、無料なんですね。
    とはいえ、「とりあえず風邪かな?」くらい診断なんでしょうかね。
    親の目線だとついつい、(いつもより)元気なないから大丈夫だろうか?と心配してしまいますが、医者にしてみれば何人も毎日見てるから、まぁ大事かいなかはパッと見で判断できるって事なんでしょうけどねぇ。
    とはいえ、ちゃんと見るだけは見てほしいものです。
    ・・・子供がデカくなるにつれ、昔はなんであんな程度で心配してたんだろうと思ったりもしますが(笑)

    1. ま~く より:

      餌釣師さん

      日本と違って健康保険があるわけではないのでいくらかかるのだろうと気になっていました。以前に紹介した30バーツ医療の登録のある子でしたらその心配もありませんが、登録をしていない子でしたので・・・

      小さい子どもが熱があっても元気に遊んでいる場合はあまり心配はないと思いますが、熱があってぐったりしている場合には注意が必要だと思います。この時は後者でしたので少し心配でした。


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