昨年、梅干を漬けた話を書きましたが、今年も例年通り梅干を漬けました。一度きちんと手作りの梅干を食べてしまうと、スーパーなどで売っている調味梅干は食べられなくなってしまうのです。昨年は端折って梅干作りの記事を書きましたが、今年はもう少し詳しく書いてみようと思います。
梅の購入
(2017年6月15日)
6月上旬から中旬にかけて青梅がスーパーなどに並ぶようになりますが、こちらは梅干には向かず梅酒作り等に利用します。6月中旬から7月上旬になると黄色く色づいた梅が出回るようになるので、そちらを購入するようにします。
今年は6月15日に会社帰りに駅前の青果店をのぞいたところ、梅が並んでいましたので、そちらを購入しました。今年は昨年よりも1kg多い、3kgを購入しました。
追熟
青果店で梅干用の梅を購入したものの、まだ青いものがかなりあります。そこで梅干を漬ける前に追塾させることにします。追熟のさせ方はいろいろありますが、私の場合はダンボールに新聞紙を敷きそこに梅を並べます。梅を並べ終わったらダンボールの蓋を軽くして部屋の隅に放置します。梅が黄色く色づき、周囲に甘い匂いが漂うようになれば追塾は完了です。
このとき間違ってもビニール袋に入れたまま放置してはいけません。果物も野菜もそうですが収穫されてからも呼吸をしているので、呼吸ができなくなると痛んでしまいます。
今年は3日追熟させたところで周囲に甘い匂いが漂うようになりましたので、6月18日に漬込みを行うことにしました。
漬込み
(2017年6月18日)
梅の下処理
追熟させた梅を傷つけないようにやさしく水洗いします。このときにヘタの黒い部分を爪楊枝などを使って取り除いていきます。ヘタをとらないとカビの原因になったりしますので、地味ながらも大事な作業です。
材料
梅干を漬ける際の基本的な材料は、梅と梅の重量の20%の食塩です。塩分摂取が気になる小生は、昨年は10%の減塩梅干を作りましたが塩分を減らしたために常温保存には不安がありますので、冷蔵保存しています。今年は漬ける量を増やしたこともあり、常温保存可能な梅干にしたいと思いますので常温保存可能なギリギリの量といわれる15%の塩分量とします。
これに消毒用としてホワイトリカーを適量用意します。
漬込み
洗って水分を切った梅をホワイトリカーにくぐらせ消毒し、塩をまぶします。そして漬け樽に並べていきます。量が多くなると面倒ですが、この作業を1個1個行っていきます。
すべての梅の処理が終わったら、残った塩を漬け樽に放り込み重しをします。最初の段階では梅の倍の重量の重しをして、梅酢が上がるのを待ちます。
梅酢の確認
(2017年6月20日)
梅を漬け込んで何日かすると塩の浸透作用によって梅の内部に含まれている水分が外に染み出てきて、梅が水に浸かった状態となります。この水を「梅酢」といい梅干つくりの要となる重要な成分です。今年は漬込んで2日後には充分な量の梅酢があがってきました。
もし漬込みから3日たっても梅酢が上がってこない場合は、カビ発生の危険性が高まりますので何らかの対応が必要となります。人によって対処法が異なるようですが私が参考にしている方の作り方では、梅が浸かる分量だけホワイトリカーを投入するようです。
赤紫蘇投入
(2017年7月2日)
白干し?赤干し?
前段までの状態でつけていれば「白干し」という状態の梅干しになります。しかしより梅を赤く色づけるためには、漬けている途中で赤紫蘇を投入します。この作業ははっきりいって好みの問題ですが、小生の場合は庭に勝手に生えてくる赤紫蘇の有効利用の側面もありいれるようにしています。
赤紫蘇を入れる際の分量は以下の通りです。
- 赤紫蘇:梅の10%
- 自然塩:赤紫蘇の20%
赤紫蘇の下処理
枝から葉のみをとり水でよく洗います。よく洗ったらザルなどに上げ、水をよくきり乾かします。この時期の紫蘇は虫がついていることは少ないですが、念のために虫がついていたりしないかよく確認します
塩もみ
よく乾かした赤紫蘇の葉と半分の量の塩を大きめのボウルに入れ、全体に馴染ませてから両手で押すようにしてよく揉みこみます。
すると赤黒く濁った汁が出てきますが、これは赤紫蘇のアクです。こんな風にたっぷりのあくが出ます。
赤紫蘇は両手できつく搾って水気を切りアクを捨て、ボウルを良く洗います。
次に残っている塩と絞った赤紫蘇をボウルに入れ、再び両手でもみなおします。
ここでもアクが出てきますので、最初と同様に硬く赤紫蘇を搾ってアクを捨てます。
2回目の塩もみで出たアクがこちらです。ここできちんとアクを出さないとき綺麗な発色が妨げられるので丁寧に行いましょう
赤紫蘇投入
再びボウルを綺麗に洗い、絞った赤紫蘇を入れます。そして梅を漬けた容器から梅酢を少量取りボウルに投入します。
ボウルの中の赤紫蘇を軽くほぐすようにすると、綺麗な赤紫色になります。
こうして処理した赤紫蘇をほぐすのに使った梅酢とともに漬け樽に投入します。後は元通りに重石を載せて、漬け樽に封をします。
土用干し
(2017年8月12日)
土用干しについては様々な流儀があり、人によってやり方も異なるようです。ここでは小生が行っている方法について書いていきたいと思います。
「梅干し」というからには干さなければいけません。このままでは「梅漬け」です。と、言うことで梅雨明け宣言が出た後、週間天気予報を眺め3日ほど晴天が続きそうな日を選び土用干しを行う日を決めます。しかし今年は8月に入ってから毎日雨が降るという異常な天候不順でした。その中でも比較的天気の良い日が続きそうな日を選んで行いました。
漬け樽から梅を取り出し重ならないようにザルに並べます。一時間ほどして表面が乾いてきたら梅がザルにくっつかないように裏返しにします。また一緒に漬け込んでいた赤紫蘇も固く絞ってザルで干します。そのまま夕方まで屋外で干し、夕方には梅酢の中に梅と赤紫蘇を戻します。
この作業を3日繰り返し、3日目の夕方には梅酢の中には戻さず清潔な保存容器に入れて熟成させます。好みの問題もありますが概ね3ヶ月から6ヶ月ほど熟成させてから食べたほうがおいしくいただけます。
副産物
梅干を作ると2つの副産物ができます。それが赤紫蘇と梅酢です。これらも立派に用途がありますので捨ててはいけません。
まず赤紫蘇ですが、私の場合はよく乾燥させた後のフードプロセッサで細かくして「ゆかり」にしています。梅干同様にご飯によくあいます。また干さずにしっとりした状態のものを、おにぎりに巻いてもおいしくいただけます。
一方で梅酢のほうですが、こちらはもっと様々な用途がありますが小生がもっとも重宝しているのが、紅しょうが作りです。これは薄くスライスした新生姜を一晩乾かしたものを梅酢の中に放り込むだけです。串揚げにしたりお好み焼きや焼きそばに使ったりとその用途は様々です。そのほかに焼き魚にかけたり、マヨネーズに和えたりするといつもとは違った味を楽しむことができます。
う~~~~ん
私の食べられないものがまたあ~~~(笑)
市販の梅干は調味料漬というのは聞いたことがありますが
そんなに違うものなのですね
奥様も召し上がるので大量に漬け込まねばなりませんね
あさとさん
記事を書きながら、そんな突っ込みが入るのではと思っておりました(笑)
スーパーなんかで売っている梅干しは化学調味料を使っているものが多いですからね。本来、梅干しは保存食のはずですが減塩ブームで過度に減塩した結果、防腐剤を入れたり冷蔵庫で保存しないといけないものなどが出ています。3年ほど前から食べるものには気を使うようにしています
うわ。すごいですね。
我が家でも昔はやっていましたが、最近は梅の木が枯れちゃって
買ってまで漬ける手間を考えると、できたのを買っちゃいます。
おいしそうですね。唾液がとまりません。
いはちさん
我家にも梅の木はあるのですが、枝垂れ梅で実が食用に適さないためやむを得ず梅は青果店等で購入しています。でも梅の実ってそれなりに良いお値段もするので、梅の実を買って梅干しを作るとなるとそれなりにコストもかかります。でも出来上がったものはやはり市販のものとは全く別物です
うちのばあちゃんは、昭和の頃に故人になっていますが、
紫蘇を使わないでうめぼしをつくっていました。
それ以来、その味を探していろいろ売っている梅干しを試したのですが
どしてもその味が見つかりませんでした。
ところがこの前、個人販売の梅干しでみつけました。
やはり紫蘇を使わないそうで。
梅本来の風味が残ります。
梅干しって作った人一人一人の味が出ますからね。
ま~く家の梅干しも試してみたいですw
Dr.鉄路迷さん
私の場合は親はこういった仕事はしませんでしたし、祖父母とは離れて住んでいたこともあり、梅干しつくりなんかをしている光景と言うのは子供の頃は目にしたことがないんです。それが自分自身の環境が変わり、日本の文化・伝統のようなものを大切にしていかないとと言う思いからこういうことも手掛けるようになりました。初めてまだ年数も浅いのでまだまだ試行錯誤です。
Dr. は白干しの方がお好きなんですね。私の場合はまだ白干しを作ったことがないので来年は一部を白干しにしてみましょう。
> ま~く家の梅干しも試してみたいですw
中山にお越しになった際に拙宅へお越しいただければお譲りしますよ