今年も1月2日・3日で毎年恒例の東京箱根間往復大学駅伝競走が実施されました。結果は、東海大学の優勝で幕を閉じましたが、考えさせられる事態も発生していました。それが大東文化大学で1区を走った新井康平選手に関してです。
スタート直後の転倒
スタート直後の集団の中で走っていた大東文化大の新井選手が、転倒してしまいます。その時の映像を見ると、後ろの選手に足を踏まれたようにも見えますが、集団の中での接触はよくあることですし、こればかりは不運としか言いようがありません。
新井選手は転倒したことで集団から遅れますが、すぐに起き上がり集団に追い付いて走り続けます。しかし足を引き釣りながらの走りは素人目にも明らかにおかしく、とてもそのあと20km以上も走れるとは思えない状態でした。ところが新井選手はそのまま何とか、21.3kmを走り切りトップから8分半余りの遅れで2区のランナーに襷をつなぎました。
しかしこの怪我で当の新井選手は、復帰までに半年以上がかかると診断されました。復路のゴールでは松葉杖をついた痛々しい新井選手の姿が写っていました。
美談ではない
当時のテレビの中継では痛みで顔をゆがめながら走り切った、新井選手に対し「21 キロをこの状態で走ってきました。最後の箱根駅伝です。節目の大学50回目の出場。もう走れる状態ではないかもしれない。ただ、新井が前を目指してきたその理由、首からかけた、肩にかけたこのタスキ、その思いだけです。頑張れ新井、タスキを繋いでくれ」などと感動してくれと促すような実況がなされていました。
しかし実況のみならず、転倒した時点で新井選手を止めさせなかった大東文化大の現場の責任者である奈良監督の判断にも大きな疑問が残ります。負傷した選手をそのままの状態で20km以上も走らせるのは、別な箇所の故障を誘発する可能性もありますし、選手生命を脅かす可能性さえあります。当該の新井選手は4年生ですので来年の箱根駅伝には出場しませんが、4月からは実業団のサンベルクスで競技を続ける将来性ある選手なのです。
奈良監督の対応
監督やスタッフが載る運営管理者は10km過ぎで合流しますので、それまでは別な場所で待機しています。そのため大東文化大の現場の責任者である奈良監督は問題の転倒シーンは直接は見ていないはずです。しかしスタートの様子はテレビなりで見ていたはずので、その時点で新井選手を止めるよう競技関係者に伝える事はできたはずです。
その後、奈良監督は運営管理者の車で新井選手の後ろを走っていますが、その際にも「大丈夫なら手を挙げてくれ」などと声をかけています。しかしこんなことを言われてダメだと自分から申告する選手がいるでしょうか?奈良監督自身も以前は大東文化大の選手として、出場していた方ですが、その襷の重さを忘れてしまったとしか思えない対応です。
これについてはかつての箱根ランナーで、マラソン日本記録保持者の大迫傑選手も「自分ならと考えたけど、どんな酷い怪我であっても単純にやめにくいよね。」と言っています。
デジャヴ??
箱根の問題シーンを見ていた思い出したのが昨年10月に行われた社会人女子の「プリンセス駅伝」です。この時、2区を走った岩谷産業の飯田怜は、右脛骨折で残り300メートル付近で走れなくなり四つん這いになって進み、血まみれの状態で中継所に向かいました。
ただプリンセス駅伝の時は岩谷産業の廣瀬監督は離れたところから映像で確認し、すぐに大会関係者に棄権を申し入れたが大会の現場担当者にそれが伝わらなかったとして、運営体制の問題については大きな議論になりました。その時の教訓が全く活かされていないように思います。
過去にも
かつて箱根駅伝でも+選手が脱水症状に陥ったりして、まともに選手が走れなくなっているにも関わらず棄権をしなかったことで、大きな批判を浴びたことがあります。そのため給水が設けられるなどの改善はされてはいますが、充分ではないように思います。
競技運営者や大学関係者には選手の事をしっかりと考えた上で、競技実施の体制、仕組み作りをして欲しいと思います。
う~ん。むずかしい問題ですね。
諸説ありますが・・と言う言葉で書かせていただきますが
駅伝という競技は一人がチームの為にチームで一人一人が輝く為に
走り続けなければならない非常にストイックでもあるスポーツだと
思っています。
私も何度か市民駅伝のランナーで走っていますが、幸いにも毎度くり上げスタート
で走る立ち位置での出場でした。これはこれで或る意味スタートと同じ
緊張感を持っての走りとなりますが・・・
スタート時の潰し合いは確かにありますが、今回は偶然だったと思いたいですね。
それでも走り続けるランナー。今後は第三者に判断を託さなければならない
時代も来るかもしれません。
監督も選手も大変ですね。
いはち さん
怪我と言ってもケースは様々ですので、確かに難しい問題ではあると思います。だからこそ一番身近にいる監督が、選手の将来を考えた判断をしてあげないといけないと思います。
おっしゃるように駅伝はチームのために任された区間をそれぞれの選手が走りますので、選手は大きな責任を感じて走る訳です。ですので選手が自分から「やめた」なんて事は言い出せません。それにも関わらず選手に棄権の可否を委ねるような監督の言動は疑問を感じます
状況が様々ですので
あのとき何が最良かとはわかりません
責任ある立場の方は
それを決断する責任も自身にあることを
思い知らねばならないと思います
スポーツ競技として
ではなく
私は箱根駅伝は
学生競技だと思ってます
その学生に判断を委ねるなんて
やはり指導者としては失格寄り……
かもしれません
あさと さん
そうなんです。
あくまでも学生競技ですから指導者がきちんと判断し市道しないといけないと思います。その判断を選手自身にゆだねるというのはやはり本末転倒だと思います。
近年は箱根駅伝人気もあり、活躍した選手や監督がはスターのような扱いを受ける時がありますが、あくまでも学生がやっているという事を忘れてはならないと思います