次期日本政府専用機と次期アメリカ大統領専用機

2019年の導入を目指している日本の次期政府専用機の準備が進められています。日本政府は2014年に次世代の政府専用機にBoeing 社の777-300ERを採用することを決定し、翌年にはそのデザインを発表しています。

すでにアメリカ・カリフォルニア州で新デザインの塗装が施され、現在ではスイスのバーゼルでジェットアビエーション・バーゼル社によって内装工事が行われているようです。ジェットアビエーション・バーゼル社では2018年夏までに2機の改修を終える予定とのことです。現在の政府専用機は1992年に導入されたBoeing 社の747-400を使用していますが、次期政府専用機の導入と同時に退役となる予定です。これにより日本籍の旅客機のジャンボ機はなくなる事になります。

747-400の退役は世界の航空会社の潮流となっており、今年に入ってからもキャセイパシフィック、ユナイテッド航空などが747-400の運航を終了しています。年内にはデルタ航空もこれに続く予定となっています。Boeing社では747-400の後継として、747-8I(旅客機)と747-8F(貨物機)を発売していますが、販売は振るわず月産0.5機に生産レートを落としています。特に旅客機の747-8Iは販売が不振でこれまで導入した民間航空会社はルフトハンザ、中国国際航空、大韓航空の3社のみとなっています。(要人輸送用を除く) Boeing社もこのまま販売不振が続けば、2019年から2020年に生産を終了する可能性が高いとしています。そうなるとますますジャンボ機を目にする機会が減る事になりそうです。

一方で新たに747-8の導入を決定した所もあります。他ならぬアメリカ政府です。現在の大統領専用機(747-200)の老朽化が著しいとして、747-8の導入を決定し今年8月にBoeing社と契約を締結しています。来年から大統領専用機として必要な改修を行い、2024年にデビューするようです。アメリカ政府が購入する事になったのは、ロシアのトランスアエロ社が、2013年にBoeing社に発注したものの、同社の倒産によって納品されずにBoeing社の倉庫に眠っていた機材との事です。これにより大幅なディスカウントが可能となり購入に至ったようです。

あの不自然な髪形の不動産王が次の大統領選で、再選されればその任期は2025年までとなります。彼は新しい大統領専用機に乗る事が出来るのでしょうか?

アメリカ・カリフォルニア州で確認された、新デザインの塗装が施された新政府専用機に関するTwitterの投稿。この後、内装工事のためにスイスに飛び立ったようです。

747-8Iの受注状況
発注者 発注日 発注数 納入数 受注残 備考
AirChina 中国 2012.09.06 7 7 0
ArikAir ナイジェリア 2011.06.15 2 0 2017/1 キャンセル
KoreanAir 韓国 2009.12.07 10 9 1
Lufthansa ドイツ 2006.12.06 19 19 0 ローンチカスタマー
Transaero ロシア 2013.12.27 3 0 Transaeroの倒産により未納
BusinessJets/VIP 米国 2017.03.02 1 0 1
747-8Fの受注状況
発注者 発注日 発注数 納入数 受注残 備考
AirBridgecargoAirlines ロシア 2014.10.10 7 6 1
AtlasAir 米国 2006.09.11 10 10 0
Cargolux ルクセンブルグ 2005.11.15 14 14 0
CathayPacific 香港 2007.11.08 14 14 0
KoreanAir 韓国 2006.12.28 7 7 0
NipponCargoAirlines 日本 2005.11.15 8 8 0 3機キャンセル
SilkWayAirlines アゼルバイジャン 2013.07.05 5 5 0
UPS 米国 2016.10.27 14 0 14
Volga-DneprUKLtd ロシア 2006.11.30 5 5 0
BusinessJets/VIP 米国 2012.11.27 2 2 0

747-8シリーズの受注状況は苦戦しているようです。(表は2018年10月現在)

6 responses on 次期日本政府専用機と次期アメリカ大統領専用機

  1. あさと より:

    アメリカ大統領の専用機がB747-8なら
    日本の政府専用機はB787-9位でも良いのでは(笑)

    B773が選ばれた理由はいくつもあるでしょうけど
    出来ればあと2年ほど747の使用を延長して
    777の次の世代にしてほしかったですね

    1. ま~く より:

      個人的にはA380やA350あたりが良いのではと思ったりしますが
      アメリカ製でないので候補には上がらないようです。
      航続距離を考えれば787の方が有利ですが、やはりキャパシティの
      問題で777-300ERとなったようです。

      777-9はスケジュールの問題で間に合わなかったので検討から除外
      されたようです。すでに747を旅客機として運航している航空会社が
      日本にはありませんから、現行の政府専用機の整備コストが高くついている
      ので更新を急がなければならないという事情があったようです。

  2. いはち より:

    政府専用機が773になったのは知っていましたが
    こんな塗装なんですね。青色なら全日空の787みたいです。
    私もあさとさん同様787でもいいのでは?と思いました。
    何をそんなに載せて飛ぶのでしょうかね?ロシアみたいに色々な
    車でしょうか。

    1. ま~く より:

      いはちさん

      現在の政府専用機のカラーは当初、整備を委託していたJALの当時の塗装に似ていますね。今回はANAに整備が委託されますので、委託先のデザインに似るもんなんですかね??

      政府専用機の内部については公開された写真を見たことがありますが、通常であれば貨物室になっているスペースはどうなっているんでしょうね?この点については私も少し調べたことがありますがわかりませんでした

  3. Dr.鉄路迷 より:

    あら。
    貨物機でももう日本には747は無いのですか?
    最近、貨物機は見ていないもので・・・。
    なんか今度の政府専用機の塗装、中国の四川航空の塗装に似ているような気がするのですが・・・。

    1. ま~く より:

      Dr.鉄路迷さん

      本文に「日本籍の旅客機のジャンボ機」と書いていますが、貨物では747は残っています。NCA(日本貨物航空)が近年、747-400Fから747-8Fに機材を更新していますので、貨物機ではしばらくみる事が出来ると思います。

      新政府専用機のデザインはANA関係者の提案を元に政府関係者が決定したようです。

Dr.鉄路迷 へ返信する コメントをキャンセル

※メールアドレスは管理者のみに通知されます。