先月の終わりに成田空港に関する、ある報道があった。まずは報道に関して引用してみたいと思う。
成田国際空港会社は27日、推進中の成田空港第3滑走路計画について、既存のB滑走路を北側に1000メートル延伸して3500メートルにした上で、その南側に3500メートルで整備する案を最有力候補として示した。国、千葉県、地元9市町との4者協議会で明らかにした。今後、同案をたたき台に地元自治体などが住民らとの調整に入る。
同社は協議会で、B滑走路と並行して2700メートルで第3滑走路を整備する2案も示した。しかし、移転家屋を少なくでき、騒音被害の拡大も抑えられることなどから最有力案が最も有効だと説明した。この案通り整備すれば、空港の年間発着能力を16万回増やせるという。整備費用は概算で1000億〜1200億円、完成時期は不明としているが、2020年の東京五輪・パラリンピック以降になる見通しだ。【渡辺暢】
(2015年11月27日 毎日新聞)
この報道には少々驚きをもって接することになった。国際的に見て3本の滑走路が平行して設けられている空港と言うのは珍しくない。シンガポールのチャンギ国際空港やソウルの仁川国際空港でも3本の滑走路が平行しているし、上海の浦東国際空港では4本の滑走路がほぼ並行して設けられている。いずれの空港も滑走路を横に複数ら並べる形で配置している。
ところが今回の最有力とされた計画を見ると、大雑把に上図のような位置に滑走路ができることになる。微妙に横にずれてはいるもの、ほぼ一直線上に2つの滑走路ができることになる。この配置は世界的に見ても稀な配置と言えると思う。南方面から新滑走路に着陸してきた飛行機が何らかの事情でゴーアラウンド(着陸やり直し)をしたタイミングで、B滑走路から離陸してきた飛行機がいたりするとかなり危ういことになりかねない。このようなことを防ぐために、管制官はより複雑な管制を強いられる可能性もある。
今回の計画の実現性はともかく、今回のような案が持ち上がってきた背景には根深い土地収用の問題がある。そもそも成田空港は当初から平行するA・B滑走路と、それに対して45度方向に設置するC滑走路の3本の滑走路を整備することで計画された。この方針は長く堅持され、平成16年の国土交通省白書にも以下のような、滑走路建設の計画が明示されている。
しかしC滑走路が計画されている場所には、いまだに空港建設に反対する住民のが用地収用に応じていない場所が複数ある。Google Earthで見ると現在は誘導路となっているC滑走路建設予定地にフェンスで囲まれた、民家が残っている様子を見ることができる。
※任意に拡大縮小してみてください。
なんとも異様な光景であるが、この状態を解消する見込みが立たないので、方針転換を図らざるを得なかったという事なのであろう。しかし台形地形の上に位置し、風向きが変わりやすい成田空港では横風用滑走路は他の空港以上に必要なものであると思う。2020年には東京オリンピックが開催される。羽田空港とともに、その玄関口となるはずであろう成田空港の現状は淋しい限りのものである。一日も早くこの異常な状態が解消される日が来ることを、切に希望する次第である。
C滑走路のことは長年のことなのでともかく
ほぼ直線上に2つの同方向の滑走路というのは
事故につながりかねませんね
オリンピック特需のための早期案でしょうけど・・・・
あさとさん
ほぼ直線上に2本の滑走路と言うのはやはり気になりますよね。
羽田の国際化で主要路線を奪われているなかで成田の利便性を高めようという地元自治体の動きの一環ではありますが、気になるニュースです
私が国内線を利用する時に使用する滑走路は暫定2180メートル
の滑走路なのでしょうね。で、そこに行く時に見かけるこの家。
いつもどのようにして この家に入るのか?と思っていましたが
階段と地下通路があるんですね。駐車場は地下通路内にあったりして。
いはちさん
掲載した資料が古いものがあり混乱させてしまいましたね。国土交通白書から抜粋した資料に2,180mの暫定滑走路として掲載されている滑走路は2009年に北側に延伸し現在は2,500mになりB滑走路というのが正式名称となっています。
基本的には4,000mあるA滑走路を離陸用、2,500mのB滑走路を着陸用として使用しています。2010年以降の私の成田到着ではすべてB滑走路に着陸しています。ただしA380のような大型機や成田管制の混雑によってはA滑走路への着陸で使用することもあります。
四方を空港用地に囲まれた家はおっしゃるように地下を通るような形になっています。おそらく囲繞地通行権が発生しているもの思います