中国茶の種類と製法

中国茶も日本茶も欧州の紅茶も、すべては同じツバキ科の茶の木の葉を原料としている。その違いは主にその製法にあるのだが、今回は中国茶の製法について整理したいと思う。中国茶は以下の6種類に分別される。

<緑茶>
西湖龍井(浙江省)、黄山毛峰(安徽省)、安吉白茶(浙江省)、平水珠茶(浙江省)、東山碧螺春(江蘇省)

<黒茶>
雲南プーアル(雲南省)

<黄茶>
君山銀針(湖南省)、霍山黄芽(安徽省)、蒙頂黄芽(四川省)

<白茶>
白毫銀針(福建省)、白牡丹(福建省)、寿眉(福建省)

<青茶>
安渓鉄観音(福建省)、武夷岩茶(福建省)、黄金桂茶(福建省)、毛蟹(福建省)、凍頂烏龍茶(台湾)、高山烏龍茶(台湾)、白亳烏龍茶(台湾)

<紅茶>
祁門紅茶(安徽省)、九曲紅梅(浙江省)、英徳紅茶(広東省)

中国茶は、緑茶、白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶の6種に分けられる。その製造工程は下図のようになるが、最初の分岐点は「殺青」という工程を行うか否かにある。殺青とは加熱して茶葉の酸化・発酵を止める作業である。日本茶ではこの工程を蒸して行うが、多くの中国茶では窯炒りをして行う。龍井茶の茶葉が平たくなっているのは、鍋肌に押しつけるようにして火を入れるためである。その後に麹菌を付着させたりして別工程で発酵をさせたものが、黒茶や黄茶となり、後発酵茶等と呼ばれる。

一方で殺青を行わない茶は、「萎凋」という工程を経る事になる。萎凋とはある程度の温度の環境に茶葉を晒し、葉をしおれさせ酸化・発酵を行う。萎凋を行ったあと、そのまま乾燥させたものが白茶となるが、手で揉んだりしていないのでお茶の成分を抽出するには時間がかかる。萎凋の後に手で揉む揉捻と言う工程を経たあと発酵や酸化させる工程を経たものが、青茶や紅茶となる。


ChunaTea[1]

※画像クリックで拡大表示します。

こうして製造方法が全く異なるお茶であるから、その適切な淹れ方や飲み方は事なってくる。主な中国茶を飲むときの飲み方は、以下の3種類がある。

(A)グラスで淹れる ->緑茶、白茶、黄茶、工芸茶
(B)蓋碗(がいわん)で淹れる->緑茶、白茶、黄茶
(C)茶壷で淹れる ->青茶、黒茶

基本的に(A)と(B)は同じであるが、中国で最も良く見られるのは(A)のスタイルである。一方で台湾では(C)のスタイルが多いと思うが、これは飲まれるお茶の種類にも関係があるようだ。

現在の中国で最も多く飲まれているのは西湖龍井茶に代表される緑茶である。一方で台湾茶の主流は凍頂烏龍茶に代表される、青茶である。お茶のカテゴリが異なるので、飲み方もそれぞれ異なるのである。


10 responses on 中国茶の種類と製法

  1. 餌釣師 より:

    製造業担当としては、フロー図をみると仕事を思い出してしまいます・・・てか、フロー図はMKさんが作ったの?(笑)

  2. いはち より:

    フロー図がパソコン画面では見えなかったので
    印刷してしまいました。(笑)
    ウーロン茶が一番手間がかかるのでしょうか。
    それにしては、大型スーパーで2リットルの
    ものがすごく安く売られていますね。
    私は龍井茶が好きですが、違う茶葉にもチャレンジ
    してみましょうかね。

  3. あさと より:

    良く日本の飲料メーカーが
    「ウーロン茶」を商品にしていますが
    台湾や中国に行ってる人間にとっては
    どのウーロン茶だ・・・といつも思っています
    書いてらっしゃる青茶のウーロン茶も
    発酵濃度でずいぶん味と香りが変わりますからね
    日本の飲料メーカーのは
    「くず茶」にしか感じません・・・・・

  4. 鉄路迷 より:

    よく日本の飲料のウーロン茶では、鉄観音が使われているようですが、鉄観音って青茶なのかあ。
    私はウーロン茶の中では東方美人茶が好きです。
    これも青茶の中に入るようですね。

  5. ま~く より:

    餌釣師さん
    仕事柄フロー図を書くと頭の中を整理できます。
    図はPower Point で作成しました。
    この手の図を描くには手っ取り早いツールです。

  6. ま~く より:

    いはちさん
    図の文字が少し小さかったですかね。
    同じ烏龍茶でもピン切りで味も様々ですからね。
    大手のメーカが大量生産しているお茶の茶葉は機械で
    大量に作るのでしょうね

  7. ま~く より:

    あさとさん
    発酵の度合いで味や風味が変わってくるのが日本のお茶とは
    違うところですね。日本ですと「女房と畳は~」の言葉のように
    なんでも新しい物が好まれお茶も新茶が持てはやされますが
    中国茶の場合はそうではありませんね。
    私の台湾人の友人のお爺さんは、同量の金と同じ値段がする
    お茶を飲んでいたそうです。一度、そんなお茶も飲んでみたいですね

  8. ま~く より:

    Dr.鉄路迷さん
    一口に烏龍茶と言ってもその種類は様々ですからね。
    日本で最初に烏龍茶飲料を発売した伊藤園がブレンドする茶葉のひとつに
    採用した事から日本人のなかで知名度が上がりましたね。
    そのため、日本人=鉄観音が好きと言う認識が中国にも伝わり
    中国のお茶売り場等では日本人を見つけるとやたら鉄観音を勧めてきます
    青茶のカテゴリで私が好きなのは、阿里山高山茶です。
    香りが高くておいしいお茶です

  9. 旅途愉快 より:

    中国茶の種類はたくさんありますね。知っているのはごく僅かです。
    私は「違いがわからない男」なのでいつも飲み物は旅先の雰囲気で味わってしまっています。

  10. ま~く より:

    旅途愉快さん
    確かに種類は多いですね。
    私も飲んだ事がないものも多いです。
    一般的には中国(大陸)でも緑茶が飲まれる機会が多いです

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