「Eat tion」でのファランとの会話 -タイ・イサーン疎放録 Vol.39-

スワンナプーム国際空港3階にあるレストランの、どのお店に入ろうか悩んだ挙句に入ることにしたのは「Eat tion」というタイ料理のお店でした。

ビールを飲みながら時間を潰していると、ファラン(白人)の杖をついた老人が店に入ってきました。彼はメニューにビールがあることを確認すると、店員の案内にしたがって小生の隣のテーブルにつきます。小生はすぐに同行者との話しに戻り、ファランの老人のことは意識から消去していました。

しかし少しすると隣の席から、「トントン」とテーブルを指で叩く音がします。なんだろうと隣のテーブルに目をやると、先ほどのファランの老人が話しかけてきたのです。

彼は小生の旅の目的や何処へ行ったのかなどと言ったことを一通り聞いてきた後、今度は自分の話を始めたのです。何でも彼はベトナム戦争時に従軍した元米海兵隊員だというのです。彼が所属していた部隊は北ベトナム軍の急襲を受け甚大な被害を受け、彼自身も足に重症を負ったとの事です。その怪我の治療ために本国に戻り、その後に除隊となりカナダに移住したらしい。(不勉強ながら小生は知りませんでしたが)カナダはベトナム戦争に反対し、その戦争に加わらなかったことから、ベトナム戦争に反対する多くのアメリカ人がカナダに移住したらしいのです。

そんな生々しい話を聴くことになり、小生が言葉を発せずにいると彼は胸ポケットから一枚の写真を取り出しまし、小生に見せます。写真には3歳くらいの女の子が写っています。小生が聞くと彼女は彼の孫娘だといいます。そして今ではこの孫娘を初めとして、家族に囲まれて幸せに暮らしているとにっこり笑いながら言うと、そのまま会計を済ませて去って行きました。

これまで日本でも戦争体験などというものを直接聴いたことがありませんでしたが、期せずして異国の地でそんな体験をすることとなりました。

まずはシンハーを注文します。空港ですとグラスもキンキンに冷えていますね。

コームーヤーン(豚の首肉焼き)を頼みましたが、なんかいつも食べているものとは雰囲気が違います。


ルクチンプラー(魚の団子)もやっぱり、いつも食べている感じと違います。空港ということで少し気取った仕様なのかもしれません。

イエンタフォーは見た目は思ったとおりの感じです。味はそうでもなかったようですが

こんな料理を食べながらファランのディープな話を聞くことになりました。

4 responses on 「Eat tion」でのファランとの会話 -タイ・イサーン疎放録 Vol.39-

  1. あさと より:

    大変な体験をされたんですね
    戦争体験と言うのは
    していない人間があれやこれやと言うことができませんし
    また政治的な発言につながります
    私はツアコンの研修を受けた時
    話してはいけないことの1つに
    政治情勢と宗教と言うことを教わりました
    個人旅行者は事故の責任の元行えばよいわけですが
    なかなかこのご老人は勇気がある人でしょうね

    1. ま~く より:

      あさとさん

      仕事上で中国人と接することもありますが、親しくなっても彼らと政治的な話や近代史に関する話をしないようにしています。私の中ではタブーな話として分類しています。面倒くさいことになると嫌ですしね

      ベトナム戦争に関してはベトナム側の視点からその主張を目にする機会は以前にありましたが、アメリカ側の視点から話を聞くのは初めての経験でした。

  2. いはち より:

    日本にいても我が国の戦争体験の話をまず聞くことが難しい
    時代になりました。
    本当に良い体験をされましたね。
    ベトナム戦争は私が子供のころに少年向けの雑誌に書いてあった
    内容しか知らなかったのですが、大人になって映画プラトゥーンや
    ハンバーガーヒルを見て、そうとう苦しめられたという印象が残りました。
    旅先でこんな話を聞けるなんて、すごい収穫だと思います。

    1. ま~く より:

      いはちさん

      すでに戦後70年が経過し日本では実体験として戦争を語る事ができる人も少なくなりましたからね。戦争体験者の中にもそのことを思い出したくないから語らないという人も多いようですし

      ベトナム戦争が終結したのは私がまだ幼児の頃ですので、歴史のテキストを通してしか知る事が出来ないものでした。しかしタイでは近隣国での出来事であり、しかもバンコクに移動するために飛行機に乗ったウボンラチャターニ空港はベトナム戦争時に米軍の出撃拠点として開港された空港です。そんなこともありタイでのベトナム戦争に関する見方は日本人とは異なるものがあるようです


コメント記入欄

※メールアドレスは管理者のみに通知されます。