前回は昨年起きたインドネシア・エアアジア墜落事故に関する内容を書いたが、本日も東南アジアの航空会社に関連する内容である。
2015年12月2日、米連邦航空局(FAA)はタイ民間航空当局が国際基準に従わなかったとして、同国の安全性評価を「カテゴリー2」に格下げしたと発表した。1997年にカテゴリ1を取得して以来の陥落である。これにより、タイの航空会社は米国への新規路線開設ができなくなる。カテゴリー2とランクされている国が他にどのような国があるかと言えば、ボツワナ、ジブチ、エリトリア、カザフスタン、レバノン、マラウィ、ネパール、シエラレオネなどと言ったところである。カテゴリ2と言うランクが、いかに悪い評価であるかという事がわかると思う。
※画像クリックでFAAのプレスリリースに飛びます
このことには伏線があった。今年3月の段階でICAO(国際民間航空機関)がタイ運輸省民間航空局に対し、「重大な安全上の懸念(SSC)」があると判断する可能性があるという事を指摘し、本ブログでも取り上げさせて頂いた。(当時の記事)しかしながら、それから9か月あまり、タイ航空当局は有効な手を打てないままに現在に至っている。背景にタイの政治混乱や軍政下にあることを差し引いても無策すぎることは否めない。
タイ国際航空が今年10月にバンコク – 仁川 – ロサンゼルス便を経営再建策の一環で運休したので、現時点ではタイの航空会社はアメリカへ就航していない。そのため今回のFAAの評価引き下げによる直接の影響はない。しかしすでに3月のICAOの懸念表明の時点で、日本の国土交通省はタイの航空会社の新規路線開設、運航スケジュールの変更を認めない措置を取った。翌月には就航実績がある路線、機材で運航する場合に限りチャーター便運航や増便を認可する姿勢に転じたが、新規路線開設は停止したままで今回の事態で当面の間はこの措置が継続されることになりそうだ。
訪日ビザ免除となったこともあり、近年タイでは空前の日本旅行ブームとなっている。その需要を取り込もうとタイの航空各社は、日本路線の開設を計画していた。しかし新規路線開設ができない事から、Thai Airasia X、Thai Lion airの計画は頓挫した状態になっている。またNOK Scoot は計画を変更し、親会社のScoot がシンガポール – バンコク – 関空の路線を運航することで、実質バンコクへの直行便として運行できるようにし、5月に就航している。
ICAOが問題視しているのは、タイ当局の安全審査体制であり特定の航空会社の安全性に問題があるとしているわけではない。しかし現状が長引けば、経営再建中のタイ国際航空の再建にも影響が出かねない。きちんとした安全審査体制を整え人材育成を行えば問題は解決できる性質のものである。タイの航空当局には、一刻も早く安全基準をICAOに準拠したものとし、国際基準への復帰を果たしてもらいたいものである。
間違いなくほったらかし状態だったでしょうね
タイ気質と現状を考えますと・・・・・
新規航空会社もあれだけ増えるというのは何の制限や
安全基準審査などもいい加減だった可能性もあります
あれだけ立派な空港がありながら
離着陸の滑走路運用も
私のような素人から見てもヘンでしたから
また一部ドンムアン空港の進入路とも重なっていましたし
あさとさん
確かに新規の航空会社の安全審査と言うのは気になりますね。最近は東南アジアのLCCがタイに子会社を作るケースが多いので、多くの場合は親会社のノウハウを持ち込んでいるとは思います。私が一番心配なのはタイ独自資本の新興航空会社です。こういう会社は持ち込むようなノウハウもありませんからね。
ドンムアンは本来は閉鎖するはずだったものを、再利用していますからね。スワンナプーム開港当時の前提が崩れていますのでいろいろ無理も生じているのだと思います。