タイの最新航空業界事情(2020年7月)

タイでは7月末までとなっていた非常事態宣言が、またもや8月末まで延長されました。国内感染者は2か月以上出ていないものの、国外からの入国者の感染発覚が相次いでいます。そのため人の往来もかなりの制限のある状態が続いています。

そんな状況ですのでタイ国内の航空会社は依然として厳しい状態にあります。本日はそんなタイの航空会社で7月にm似られた動きについて、まとめてみたいと思います。

タイ国際航空

6月に会社更生法を申請し、更生手続き中のタイ国際航空(以下、TG)では7月末までとしていた国内線、国際線の運航停止を8月末までと延長しました。また日本路線に関しては9月末までの運休が発表されています。

ただ例外的に8月はロンドン便を3便のみ運航する事になったようです。運航日は9日、16日、23日の3日間のみで。BKK-LONの片道のみの運航となるようです。経営再建計画を立てないとならないのに、運航できない状態が続いているので状況はさらに悪化しそうです。

一方で肝心のTGの会社更生法に関する手続きですが、こちらも先行きが不透明です。タイの破産裁判所では、8月17日に会社更生手続きに入るための公聴会が予定され、債権者が会社更生手続きに同意するかが審理されます。債権者の同意が得られれば、具体的な会社更生計画を作成し破産裁判所に提出する事になります。

しかし現状で会社更生手続きの開始に同意している債権者は、7~8割とされ(タイ国際航空のチャンシン社長代行の談話)と言われ、17日の段階では会社更生手続きが始まらない公算も高くなっています。

ノックエア

7月のタイの航空業界で一番のトピックスは、7月最終日に入ってきました。かねてから財務状況の悪化が続いていた、ノックエアがタイ中央裁判所へ会社更生法の申請を行い事実上破綻しました。ノックスクートの会社清算、タイ国際航空の会社更生法の申請に続きタイの航空会社では3社目の経営破綻となりました。

ノックエアはエアアジアライオンエアなどの東南アジアで台頭するLCCへの対抗としてTGやタイ政府系資本、タイ王室系資本が中心となり2004年に設立されました。王室に近いサラシン家出身のパティー・サラシン氏が独自経営を標榜し経営を続けていました。しかしそのことが親会社である、TGとは軋轢を生むことも発生していました。

2014年には大幅な赤字に転じ、その後は毎年赤字での経営となります。経営立て直しのために、2017年からは数回にわたり株主割当増資を行いますが、TGは増資に応じず持ち株比率は低下していきます。現在ではTGの種子比率は13%ほどで、タイ自動車部品大手サミット・グループのオーナー、ジュラーンクーン家が約75%の株を保有しています。

エアアジアグループ

タイ・エアアジアはこれまでドンムアン国際空港を拠点として運航していましたが、順次スワンナプーム国際空港へ移管する事になるようです。まずは第一段として、チェンマイ、プーケット、クラビー、スラーターニー便をドンムアンからスワンナプームへ移管する事になりました。完全に移管が完了するまでは、行き先によって空港が違うというわかりにくい状況になりそうです。

一方で財務状況は国内線と近距離便を運航するタイ・エアアジア、中長距離便を運航するタイ・エアアジアXともに厳しい状況が続いています。

新空港

かねてより建設が進んでいた、べトン空港がオープンしました。当初は6月に供用開始となる予定でしたが、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で7月末のオープンとなりました。

べトン空港が位置するのはタイ最南部のマレーシアと国境を接する場所となります。このあたりは分離独立を標榜するイスラム武装勢力による襲撃・爆弾事件が頻発している地域となっており、日本の外務省でもレベル3の危険地域として渡航中止勧告を出している地域なので普通の日本人には縁のない場所ともいえます


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滑走路は1本で長さ1,800メートルで現段階ではジェット機の離発着はできませんが、将来的には2,100メートルまで延伸しBeoing 737やAirbus 320 などの離発着を可能とするようです。隣接するマレーシアからの観光客が見込めるとの事で国際空港扱いとなっています。本来はノックエアが路線開設を予定していたようですが、ノックエアの破綻で早くも先行きが心配な空港になってしまいました。

空港を運営する運輸省空港管理局(Department of Airports Thailand)では、内部の様子をFacebookで公開していますが、地元べトン産の竹をふんだんに使った内装となっています。

2 responses on タイの最新航空業界事情(2020年7月)

  1. あさと より:

    タイに関しては
    穴も片道のみの運行ですね
    不思議に思ってたのですが
    それを飲んだ航空会社も大変でしょうね

    タイ航空は
    関わる偉い人に好き勝手にされたきらいがあるようですが
    それがフライトにも色々影響がありました
    なので以前から言ってますように
    私は好きではないのです
    多く乗らない人は
    そのサービスやなんかに目を取られますがね
    多く乗れば乗るほど
    そのいい加減さがわかってくるのです

    1. ま~く より:

      あさと さん

      おっしゃるようにTGにかかわる人に振り回されるという事は多かったようですね。ひどい時は客席に座ってから「この機種は嫌いだから他の機種に変えろ」なんて言われたなんて話も聞いたことがあります。

      片道しか客を乗せなくても貨物は積めますので、まったくの空という事はないとは思いますが、それでも口腔会社からすれば採算面では厳しいですね

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