「KP41病」との闘い顛末

メインPCの異変

今年の正月に新たに組んだメインPCですが、その後に発令された緊急事態宣言を受けたテレワークでも快調に動作していました。会社のPCよりもスペックは良いし、作業中に話しかけられることもないので出勤するよりも生産性が高いくらいでした。

ところが3月下旬頃から異変が起きるようになりました。PCを使用中に突然、電源が落ちるようになったのです。なにか特定の操作をしている時に発生するというわけではなく、時には昼食を食べて戻ってくると落ちていたなんてこともあります。また起動から症状の発生までも、30分ほどという事もあれば数時間後という事もありこちらも決まったパターンはありません。なかでもZOOMでのテレビ会議中に、この症状が発生した際には他の人にも迷惑がかかるので困りものでした。

それでも最初のうちは電源が落ちても、すぐに起動し使用できていました。ところが次第に状況は悪化していきます。一度、症状が発生すると、起動に失敗する事が続き、使用できる状態になるまで時間がかかるようになっていったのです。

原因究明(Windows篇)

ログの確認

ハードの問題の可能性も高そうですが、まずはソフト的な対応で解決を試してみます。Windows のイベントログを見ると、「重大なエラー:Kernel-Power 41」とのエラーが出力されています。

これはWindowsも予期せぬ事が発生し、電源が落ちたという事を示しています。Web上では「KP41病」と呼ばれているもので、皆さん手を焼いているエラーです。

電力設定の見直し

Windows10 ではデフォルトで高速起動がオンになっていますが、こちらをオフにすると良いとの情報が多数あります。そこでこちらを試してみますが、効果はありませんでした。

SysMainの無効化

PCに詳しい方の中には、「SysMainって?」と思った人もいるかもしれませんが、以前はSuper fatchと呼ばれていたもので名称が変更になったものです。これはWindows Vista 以降に搭載された機能で、アプリケーションが使用するであろうデータをあらかじめHDDからメモリに読み込んで置き、高速でアプリケーションを使用できるというものです。

しかしKP41病が起きた人のなかにはこれを無効化すると改善したとする人も多数います。

そこで小生もSysMain を無効化してみましたが、これも功を奏しませんでした。

原因究明(BIOS篇)

症状が発生するとBIOS読込前に起動に失敗することから、初めからハード絡みのトラブルだろうとは思っていました。そこでBIOSの設定を変更してハードの動作状況を変更してみます。最近のマザーボードでは、UEFIという画面からBIOSの設定を変更するようになっています。

メモリ電圧

電源が落ちるという症状からすると、何かの拍子で電圧が足りなくなって落ちている可能性が考えられます。一番疑わしいのはメモリです。そこでメモリに供給する電圧を上げてみます。

小生の使用しているマザーボードでは、通常ではメモリには1.2Vの電圧が供給されています。これを1.35Vに上げてみます。メモリをクロックアップしているヘビーなユーザは、この位の電圧に上げている人が多いようです。

しかしこちらも効果をえる事がありませんでした。

BIOSのアップデート

マザーボード・メーカのサイトを見ると、使用しているマザーボードのBIOSの更新版が出ていました。更新版が出ているという事が、不具合改善や、何らかの機能改善が図られているとういう事ですので、アップデートにより症状が改善が期待できます。

そこでさっそくアップデートをしてみましたが、こちらもKP41病の改善には至りませんでした。

CMOSクリア

自作PC関連でトラブルが起こると必ず出てくる言葉が「CMOSクリア(シーモスクリア)」です。これはBIOSの設定をリセットするという事ですが、正直困った時のおまじないみたいなものですが、都市伝説的に自作PCユーザではトラブルの時にやってみようと言われる行為です。

やり方は簡単で、電源ケーブルを外し給電されない状態に、マザーボード上のボタン電池を外し数分放置した後、ボタン電池を戻し電源を入れるというものです。しかしこちらもやはり効果はありませんでした。

原因究明(ハード篇)

ここまでの対策が効果を上げませんでしたので、いよいよハード的な原因を探っていきます。ここからはお金もかかるのであまりとりたくなかった手段ですが仕方がありません。

電源交換

拡張ボードも使用していませんので、そんなに電気を食うはずがありませんが電源モジュールに不具合が発生していれば電源が落ちるという症状は理解できます。そこで電源モジュールを交換してみます。

これまでも850W の少し大きめの電源モジュールを使用していましたが、今回は950W のものに交換してみます。これだけで1諭吉以上の出費です。高い電源モジュールは、いろいろ設計も違うなぁと思いながら、新しい電源に交換しますが、残念ながら効果はありませんでした。

メモリ交換

次にメモリを交換してみます。以前に「無限再起動」の症状が発生した時の原因はメモリでした。今回も症状が発生すると似たような症状が発生しますので、メモリの可能性はありそうです。

メインPCの不具合
関東地方の梅雨明けが発表された数日後のある夜、自宅のメインPCのトラブ...

そこでメモリを追加購入し、交換してみます。しかしながらこちらも効果はありませんでした。

SSD撤去

現在のPCではOSのインストール領域にSSDを使用しています。SSD自体に不具合が発生して読み込めない部分が発生しているのであれば、電源が落ちるという事もありそうです。

そこでSSDを撤去し、HDDを装着します。そしてHDDにWindows をインスト―ルする事を試みます。しかしながらWindows のインストール以前に、起動に失敗します。つまりSSDは原因ではなかったという事が、この時点で判明します。ここまでくると原因として考えられるのは、マザーボードかCPUしかないという事になります。

マザーボード交換

無理なオーバークロックをして焼き付いたようなケースは別にして、CPUが壊れたという話は実はあまり聞いたことがありません。そうなるとマザーボードの問題の可能性が高そうです。

販売代理店・テックウインドに連絡

1月に組んだPCでは、ASUS社の「TUF Z490-plus GAMING」というマザーボードを使用しています。ASUS社のマザーボードは、販売代理店のテックウインド社による1年保証があります。そこでテックウインドのサイトの専用ページから連絡をすると、その日のうちに返信があり修理対応を行うのでマザーボードを送って欲しいと返ってきました。

ただ返信のメールには、修理に出すのを躊躇してしまうような事も記載されていました。それは修理期間です。送られてきたメールでは「修理納期は製品お預かり後、3週間程度のお時間を頂戴しております。」と書かれているのです。マザーボードを送ってしまうと、その間はメインPCが使用できないことになります。幸い旧PCがサブマシンとして稼働できる状態にはありますので、修理期間をそちらでしのぐという手もありますが、リモートワークで使用する事を考えると少し厳しい気もします。

代替マザーボード購入

そこで修理に出す前にテックウインド社のサポートの状況について調べてみると、不具合なしとしてそのまま返って来たとか、別なところを壊されて返って来たとか、チップセットを交換てもらったけれど直らなかったという内容が多くヒットします。今回の事象は起動後、数時間発生しない事もあるので、不具合なしとして返ってくる可能性もある気がします。

そこで今回は代替のマザーボードを購入したうえで、問題のマザーボードを修理に出すことにしました。2諭吉ほどの出費にはなりますが、修理から戻ってきた時点でどちらかをリセールに出してしまえば、出費額はセーブする事ができます。

そこで購入候補品を検討します。検討の条件は以下の通りになります。

  • 一世代前のZ490チップセットを搭載
  • SATA I/F(内部HDD接続)は5台以上
  • グラフィックはオンボードで搭載

現在のPCでは第10世代と呼ばれる、Core i7 10700K というCPUを使っています。しかし小生が、PCを組んだ後にIntel は、第11世代と呼ばれるCPUを発売していますの。そのためCPUに対応するチップセットも一世代前のものを搭載している必要があります。またOSはSSDにインストールしますが、データ保存用、バックアップ(初代)用、バックアップ(2世代)用、クラウド同期用で4台のHDDを接続します。このほかに光学ドライブもありますので、SATA は5つ以上必要という必要となります。

こうした条件でヒットしたのが、ASRock というメーカの「Z490 Phantom Gaming 4/2.5G」というマザーボードでした。

ASRockとは

マザーボードメーカと言うと小生がずっと使用している、ASUSの他に、MSI、GigaByte等が自作ユーザの間では良く知られています。しかしASRock というのは小生にはあまり馴染みのないメーカです。そこでどんな会社か調べてみると、ASUS の子会社として2002年に設立された会社で、2007年に台湾株式市場に上場した会社という事がわかります。現在ではASUS とは資本関係はないようですが、ASUS に出自を持つのであれば信頼できそうな気もします。

YOUTUBEなんかの投稿でも廉価でも一つ一つのパーツはしっかりしたものを使用していると言われています。価格.com の人気ランキングを見ても、3製品がトップ10入りしており自作ユーザの人気も高いようです。日本の販売代理店はPC用メモリーの販売で実績の高い、シー・エフ・デー販売が努めておりこちらも信頼が置けそうです。

Z490 Phantom Gaming 4/2.5Gに交換

Amazon で発注するとすぐにマザーボードが到着しましたので、さっそく交換していきます。ASUS のマザーボードについている、メモリやケーブルを取り外したのちにケースから撤去します。次いで新しいマザーボードを、ケースに装着です。

新しいマザーボードはこちらです。ASUSのマザーボードに比べるとCPU周辺のコンデンサーの数が少ないです。

問題収束

マザーボードを交換後は、あれほど不安定だったPCがまったく落ちなくなりました。通常の状態に戻ったと言えば、それまでですがやはストレスなく使えるのは助かります

ASUSのマザーボードの修理はこれから出しますが、もしかしたら修理から戻ってきても使わないかもしれません

6 responses on 「KP41病」との闘い顛末

  1. あさと より:

    いやあ
    私とは違って発想がより細かく追及されるのですね
    スタートアップの読み込みをいじって
    もしだめならハードのほうへ飛んでいきそうです
    電源⇒メモリ⇒マザー
    もちろんこの段階で私は自分の手から離しますが(笑)

    1. ま~く より:

      あさと さん

      メーカ性のPCと違って自作ですから、自分以外に原因究明してくれる人がいませんから仕方がないですね。最初からハード絡みとは思っていましたが一番、疑ったのはメモリでしたがマザーというのは厄介でした

  2. いはち より:

    マザーボードの交換はかなり神経を使うと聞いていますが
    ご自分でやらたのですね。
    すごいです。

    1. ま~く より:

      いはち さん

      手順としては組み立てる時と逆の手順ですが、マザーボードから外す際にCPUの小さなピンを曲げたりすることがあるので注意が必要なんです。ですのでできれば、CPUの脱着は何度もしたくない作業であることは間違いないです。

  3. 鉄路迷 より:

    さすが、凄いですね。
    私だったら即買い換え・・・。
    私のも動きが悪いのでヤマダに行って買ってきちゃいました。

    1. ま~く より:

      Dr.鉄路迷さん

      メーカ製であれば修理に出すところですが、自作の場合は自分で解決するしかありませんので仕方がありません。でも今回は少し厄介だったので解決に時間がかかってしまいました

あさと へ返信する コメントをキャンセル

※メールアドレスは管理者のみに通知されます。