黄山のホテルにて -江南游回顧録 Vol.05-

黄山に登った後は黄山の中腹にあるホテルへの宿泊となった。場所が山の中なので飲食店のような物は周囲に存在せず、ホテルのレストランで夕食を取る事となった。黄山登山では小雨降る中であったのとかなり気温が低かったことからメンバー全員が体が冷え切った中での食事となった。

食事と一緒に老酒を燗で頼むと人肌ほどの温度の、老酒が瓶に入って出てきた。老酒の場合はあまり温めすぎると、風味が飛んでしまうのでこの位の温度で飲むのが正解である。しかしあまりの寒さに訪中団の団長がもっと温めろと要求する。しかし店員は上記の理由でダメだと拒否をしたが、団長がそれでも良いからもっと温めろと言うと店員は渋々老酒を持って店の奥に引っ込んでいった。

そしてしばらくすると料理と一緒に鍋に入ったままの少し脂が浮いた茶色い液体が運ばれてきた。最初は何かのスープかと思ったのであるが良く見ると、それが老酒であった。そんな投げやりな対応にやはりここは中国だと言う事を実感する事となった。

また難があったのはホテル自体においても同様であった。現在では黄山市には多数のホテルがあるが、当時はホテルの数も少なく3つ星が1軒あり、その他はそれ以下のグレードだと言う話であった。我々はその唯一の3つ星のホテルに宿泊したのだが、シャワーを使おうとすると、シャワーヘッドから出てきたのはお湯ではなく茶色い水であったので、シャワーを使うのを諦める事なった。


9 responses on 黄山のホテルにて -江南游回顧録 Vol.05-

  1. 鉄路迷 より:

    当時のホテルのお風呂は、都市部ではよかったものの、地方だとお湯が出る時間が決まっていて限られていましたね。
    なので、お湯の時間になると、どの部屋でも一斉に使い始めるのでボイラーが追いつかずに結局水しか出てこない。
    しかもボイラーに溜まっていた濁った水が出てきたりして。
    今の中国は当時に比べれば随分と変わったものですね。

  2. 餌釣師 より:

    92年の日本だと、せいぜいインターネットと携帯電話がまだ普及していなかったかな?位で後は今とそう変わらない生活が送れていたような気がします。
    それに比べ中国の20年前は前近代のような感じだったんですね。
    日本の5倍、10倍の速度で進む近代化というのを感じる事ができます。
    勿論彼らの努力もありますが、まぁ基本は他人が歩いて踏み固めた道を追随してきただけなので、真価が問われるのはこれからですけどね。

  3. いはち より:

    その頃はまあそんなものだったかも
    しれませんね。冷蔵庫でビールを冷やさない
    そんなホテルが多かったですから。
    この土地で水を確保するのは難しいのでしょうかね?

  4. あさと より:

    ホテルは宿泊させてやるところ
    レストランは食べさせてやるところ
    そういう感じでしたでしょうか
    星数も設備があればそれでつけられているのは万国共通でしょうけど
    そもそもサービスというか人的なホスピタリティというものが
    存在しなかったわけですからね

  5. ま~く より:

    Dr.鉄路迷さん
    以前はそんなような状況でしたね。
    特に地方のホテルの事情は本当に良くありませんでした。
    今は一定レベル以上のホテルに泊まればそんな事はないでしょうね

  6. ま~く より:

    餌釣師さん
    この頃はまだパソコン通信と呼ばれていた時代でしょうか。
    PCの普及を加速させたWindows95 も発売前ですしね
    当時の私は公私ともにPCが自分の生活の中心に入りこむなんて事は
    想像だにしませんでした。
    そう考えるとおっしゃる通り中国の成長力の早さと言う事は実感しますね。
    中国に限らずASEAN諸国もやはり当時の日本の倍速以上のスピードで
    成長してるように思います

  7. ま~く より:

    いはちさん
    生野菜を食べたりビールを冷やして飲むようになったのは
    中国では本当にごく最近のことですからね。伝統的に彼らは
    体を冷やすと言う事をしないようにしていましたから。
    当時の水道事情はDr. のコメントにある通りです。
    加えて山間部のホテルと言う事で余計に水道事情も良くなかった
    のだと思います

  8. ま~く より:

    あさとさん
    当時の中国は市場経済が浸透せず、まだまだ社会主義的な色彩が
    濃い時代でしたからね。非競争社会、すべての労働者は国から給料を
    もらうと言う制度のもとではサービス業等は成長のしようがない
    のだと思います。なにせサービスに質が良くても悪くても競争が
    なく給料も同じなのですから。頑張った分が金銭的なフィードバック
    として還元されるのであれば、頑張る国民である事は昨今の事情が
    良く表していますよね。

  9. 旅途愉快 より:

    >投げやりな対応にやはりここは中国だと言う事を実感する事となった。
    ⇒言われた方もタダでは引き下がらない。まさに中国らしいです(笑)
    私も中国で何回か見て思わず笑ってしまったことを思い出しました。

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