伝統的ソンクラーン -タイ・ソンクラーン録 Vol.23-

今回のシリーズのタイトルを「タイ・ソンクラーン録」としていながら、これまでほとんどソンクラーンについて書いていなかったが、今回はいよいよソンクラーンのお話しである。近年ではタイにおけるソンクラーンは、「水掛け祭り」と訳されることが多いが、もともとは旧暦(チャントラカティ)の正月にあたる期間である。

新年の行事であるため仕事で都会に出ていた者は故郷に帰省し、家族が一同に会して仏像を清めたり、年長者の手に水をかけて清め敬意を表すというのが本来の姿である。しかし1888年に旧暦(チャントラカティ)を廃止し、西暦の4月1日を新年と定めることになったため正月の意味が薄れていく。現在ではソンクラーンは西暦の4月13日~15日に固定されており、祝日になっている。

しかし正月としての意味の希薄化によってソンクラーンの様子は単なる水掛け祭りに変質していく。水をかけるのは手のみではなく全身へとなり、水をかける相手も通りがかりの見ず知らずの人にも水をかけるようになっていく。なかには道路傍に水を満載したドラム缶を用意し、通りがかりの人やバイクに水をかけたり、ピックアップトラックにやはり水を満載したドラム缶を用意して乗り込み水をかけて回ったりするようになる。

なかでも外国人の多いバンコクのシーロム、カオサン、セントラルワールド付近やパタヤ、プーケット、チェンマイといった町では外国人が中心となりお祭り騒ぎで水かけを行い、もともとのソンクラーンの意味を見失っているように思える場所もある。

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そんななか小生が滞在したイサーン地方で伝統的なソンクラーンの行事が残っている地域である。バンコクなどの都会で暮らす家族はみんな帰省し、外国で暮らす家族も可能な限り帰省して一緒にソンクラーンを祝う。

伝統的なソンクラーンでは、まず年少者が年長者のもとに水の入った桶などを持って座り、両者が胸の前で両手を合わせるワイのスタイルで挨拶をする。そして年長者が差し出した手に年少者が水を柄杓やコップなどを使ってゆっくりと水をかける。それが終わるとまたお互いにワイのスタイルで挨拶を行う。そして最後に感謝の意をこめて年長者が年少者の頭に手を当てて一連の儀式が終了する。

そんな様子を見ていると、伝統を重んじ年長者を敬うと言った文化がイサーンには寝根強く残っている事を感じさせた。バンコクの乱痴気騒ぎとは違った、伝統的なソンクラーンの様子を、今回は小生も体験することができた事は貴重な経験であったと思う。

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タイ到着初日のセントラル・ワールド・プラザ前の様子。
水だけではなく泡も放出して踊りまくって大騒ぎです。

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こちらはイサーンの道端の光景。こんな人たちを見たら要注意です。

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ポリタンクに入った水を道行く人や車、バイクにかけます。

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バイクの場合はこんな風に粉を塗りたくられる人も。
まぁバイクのほうもワザワザ止まるのですが

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ピックアップトラックに水瓶を積んで出撃準備

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走りながら水を荷台から巻いて回ります

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さて伝統的なソンクラーンの様子をご紹介。
まずは年寄りの手に年少者が水をかけます。

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水かけが終わったらお互いにワイのポーズでご挨拶

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年長者が謝意を示して儀式は完了します。


8 responses on 伝統的ソンクラーン -タイ・ソンクラーン録 Vol.23-

  1. 餌釣師 より:

    ようやく本題に入りましたね(笑)
    今やただの?祭りと化してしまったソンクラーンですが、伝統が残っている地域もあるんですね。
    カメラは防水仕様ですか?
    余談ですが、日本じゃ見かけないいすゞのピックアップトラック、D-MAX。
    結構売れてますよね。
    実はこの無骨な感じが好きなんです。
    世界で唯一いすゞがトヨタに対抗している国と言われています。

  2. いはち より:

    暖かい所ですので水をかけられても風邪を引くことはないでしょうね。
    日本では・たしか雪の降る中で鳥の格好をした
    人に水をかけるお祭りがあったかと。
    いすゞのピックアップトラックですか?
    私、実はビックホーンのロングに乗ってました。
    3200ccのガソリン車でしたが、なかなか
    良い車でしたよ。
    あの会社がまた乗用車を売ってくれるといいんですが。
    まあ 無理か。

  3. あさと より:

    やっと始まりましたね
    水かけ用の水鉄砲(でかくてマシンガン型の奴)なんかもありますしね
    バンコク何かではそう言うのが中心でしたが
    やはり田舎では桶とかバケツなんですね

  4. Dr.鉄路迷 より:

    カメラを水から守るのに必死になりそうですなあ。

  5. ま~く より:

    餌釣師さん
    日本でも田舎に行くと古い伝統が残っているようにタイでも田舎では
    ソンクラーンも本来の姿が残っているようです。
    カメラは街中にでる時は持っていかず、防水ケースに入れたiPhoneを
    カメラとして使用していました。ですがその効果を発揮する機会は
    ありませんでした。
    タイですとピックアップトラックの荷台に人が乗ってしまい
    一度に多くの人がのれるので好まれているようです。日本の道路交通法
    ではそういった利用がNGなのも日本ではあまりこういったタイプの
    クルマが流行らない一因でしょうね

  6. ま~く より:

    いはちさん
    ソンクラーンの時期は一年の中でも一番暑い時期ですので
    風邪をひくと言う心配はあまりないかもしれません。
    ただバンコク等では半端ない量の水を浴びせられますが(笑)
    ビックホーンは私の父親が乗っていた時期があります。
    たしかに良い車でしたね。現在ではいすゞはトヨタグループの
    戦略の中で動いていますので、乗用車の販売は望み薄でしょうね

  7. ま~く より:

    あさとさん
    実は私もマシンガン型の水鉄砲を持って行こうかと考えて
    いたのですが、事前に必要ないと強く言われてやめたと言う経緯が
    あります。イサーンでは移動の際にはクルマを利用していましたし
    滞在先の村でも水を掛け合うと言う事はありませんので不要でした。
    バンコク在住の友人はソンクラーンの日は水着を着て出勤して
    いたそうですが(笑)

  8. ま~く より:

    Dr.鉄路迷さん
    水をかけられるのを恐れて、現役を引退したコンデジを持っていったり
    防水のiPhoneケースを用意したのですが空振りでした


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