今年の3月1日から、東京、大阪、福岡を中心として、i-dio(アイディオ)<http://www.i-dio.jp/>のプレ放送サービスが始まった。i-dioとは運営会社のサイトによれば次のように紹介されています。
i-dioオフィシャルサイト。i-dioは新しい地上波放送です。音声、ヴィジュアル、データなど様々なコンテンツをリアルタイム、ダウンロード、ネット連携などユーザーに適した方法で提供します。放送と通信の融合、新時代のコミュニケーション・プラット・フォームです。
なんかわかりにくいですね。簡単に要約すると、インターネットでも使われるデータ通信(パケット通信)を放送波の電波に乗せて配信するというものです。あくまでも通信ではなく放送ですので、通信と違ってユーザごとに別々の情報を送られるのではなく全てのユーザに同じ情報が送られます。これにより放送波を使ってファイルのダウンロードが可能になったりします。
これは2010年の放送法の改定で新たに定義された『移動受信用地上基幹放送』という、カテゴリの放送になります。放送はTOKYO FMを中心とするJFM NETWORKが出資するBIC株式会社という会社が運営しており、TVの地上デジタル化よって空いたV-Lowと呼ばれる周波数を使って行われています。(アナログTVでは1chから3chで使用されていた周波数)
放送を受信するには専用のチューナーかチューナーを内蔵したスマートフォンが必要となります。こちらのチューナーについて、i-dioでは今年の2月からウェブで無料モニターを募集していました。
するとこんな箱に入って届きました。
当選案内のレターも入っています。そこで3月のプレ放送が開始されるのを待って、早速試してみることにしました。
まずi-dioの聴取は以下の手順にて行います。
- i-dioアプリをダウンロード
- チューナーの電源を入れる
- チューナーとスマートフォンを接続する
- i-dioアプリを起動する
i-dioのチューナーは受信した放送波を、Wi-Fiの電波に変換してスマートフォンに送信します。ですのでスマートフォン側の操作はWi-Fiに接続する要領となり、物理的に接続するわけではありません。ただウェブを見ていると意外とチューナーとスマートフォンの接続でするところでつまずく人が多いようです。ただ失敗している人が書いたブログを見ると、チューナーを起動する際にiPhoneモードとAndroidモードを間違えている人が多いようです。
チューナーはこんな感じです4.5㎝×7cmほどの小さなサイズです。
ところが小生がつまずいたのは、次のステップででした。i-dioアプリを起動しチャンネルをスキャンしに行ったところで、「チャンネルが見つかりません」と表示され聴取することができません。最初の日にはその時点で、「なんだ使えないじゃん」と言う事で終了となりました。
別な日に改めてトライしてみましたが、同じように「チャンネルが見つかりません」と表示されてしまいます。そこでいろいろ試してみると、チューナーを窓際のある場所に置くとチャンネルのスキャンに成功し聴くことができるようになりました。拙宅は放送の電波を送信しているスカイツリーに比較的近く通常のTV放送などは小さなアンテナでも受信可能なほど電波状況は良いのであるが、、i-dioの放送は現段階では放送のため出力をあまり上げていないのかもしれません。
受信状態が厳しかったので、また別な日にはi-dioのチューナーを車に積んで出かける事にしました。向かった先は江東区錦糸町、放送波を送信しているスカイツリーが間近に見える場所です。しかしそんな場所にも関わらず、チューナーを助手席に置くと電波を受信できません。ダッシュボードの上に置いて何とか受信が可能になるといった有様です。このような状況は本サービス開始までに改善する必要があるでしょう。
さて肝心の放送の内容ですが、i-dioのサイトによれば関東では以下の4チャンネルのサービスが提供されることになっています。
・TS ONE
音楽やカルチャーを発信する、フラグシップ高音質チャンネル
・Amanekチャンネル
放送と通信、位置情報(GPS)とビッグデータを融合したドライバー向けデジタルラジオチャンネル
・i-dio Selection
Jazz、Classic、Masterpieceの3チャンネルで、セレクトミュージックを放送
・i-dio Creators Ch
クリエイターによるオリジナルショートムービー・アニメを中心放送予定
こちらのアプリで聴取します。今回は「TS ONE」と「i-dio Selection」を聴取してみました。まず「i-dio Selection」の中の3チャンネルは、DJなどもなくただ音楽がエンドレスに流れるだけです。有線放送の代替には良いかもしれませんが、それにはチャンネル数が少なすぎます。一方で「TS ONE」の方はと言うと、こちらはフラグシップ・チャンネルというだけあってDJが曲紹介をきちんとしています。しかし小生が聞いた土曜の昼時はオリコンチャートのトップ100を順に流してしていくという何とも間延びした内容です。
コンテンツ面でも魅力を感じる番組は乏しいように感じます。受信が難しい上にコンテンツの魅力が乏しいのでは、サービスの普及は覚束ないと言わざるを得ません。またTVやラジオ、インターネットとの差別化についても課題です。現段階では地上デジタル放送のデータ放送との違い、インターネットのストリーミングとの違いいったものが充分に発信できていません。i-dioではないとできないサービスの開発、アピールが必要なように思います。プレ放送と言えども初期段階からこうしたことをきちんと行わないとユーザは離れてしまいます。
TOKYO FMでは以前にも「見えるラジオ」と言う文字放送を行っていましたが、充分に普及しないままにサービスを停止したという歴史があります。また新技術による放送を謳ってサービスを開始したものの、数年でサービス中止に追い込まれたNOTTVやモバホの例もあります。i-dioが今後普及するかはユーザのわかりやすい魅力を訴求し、魅力あるコンテンツの準備が必要なように思います。
こういう
電波の新たな使用法の模索が
次世代の通信になってゆくのでしょうけど
ちょっと双方向に慣れてしまうと
たとえ電波状態の良い方式でも
これを一つ別に持たねばならないというめんどくささを感じてしまいます
あさとさん
TVの地上アナログ放送が停止され空いた周波数帯を使っていろいろな事業者が色々な試みをしています。ただ中にはうまくいっていないところもあるので、どのように事業化していくかが課題です。
私が調達したデバイスでは、おっしゃるように持ち歩くものが増えますが内臓されたスマートフォンもありますのでそちらを利用すれば持ち物は増えません。魅力あるスマートフォンではあまりないのですが・・・
そうですね、話だけ聞いているとデジタルデータとしてダウンロードできるくらいが今のところのセールスポイントで、でもそれすら違法コピーの温床にならぬよう多分セキュリティコードが仕掛けられちゃうんでしょうしね・・・
となるとラジオ以外に何ができるのかな?
まぁデジタルデータを配信できるからいろんな可能性はありそうですけどね。
おっしゃる通り、コンテンツの充実が課題ですな。
餌釣師さん
サービスの仕組みとしては何かいろいろと活用できそうではありますよね。ただいかに魅力あるサービスを提供できるかが課題ですよね。技術的には大したものではなくても、サービスを魅力あるものにした結果、ユーザの支持を得られているサービスもたくさんありますからね。
NOTTVが頓挫した教訓を活かして魅力あるサービスにしていってもらいたいものです