昨年末に購入したHONDA PCXですが、本日はどんなバイクなのかご紹介したいと思います。
初代PCX(JF23)
PCXの誕生
2005年に国内バイクメーカ3位のSUZUKIが、Address シリーズで初めて125㏄となるAddress V125Gを発売するとその軽量性と加速力で、「安い・速い・コンパクト」と人気を博し原付2種ブームを巻き起こします。これに対し業界2位のYAMAHAはシグナスXを販売し、カスタムシーンで人気を得ます。
左:SUZUKI Address G125V、右:YAMAHA CYGNAS X/SR
一方で業界1位のHONDA は、このクラスのバイクでは花形といえる車種がなく原付2種市場では苦戦を強いられていました。そんななか2009年10月の第41回東京モーターショーで、満を持して発表したのが、PCXでした。
当時の発表によれば、そのコンセプトは以下の地通りとされていました。
「クラスを超えた先進デザイン」
「ゆとりの動力性能と高い環境性能」
「快適で便利な使い勝手」
そのネーミングの由来は「Personal Comfort Scooter」とのことで、素直に頭文字を取る取ると「PCS」となります。しかしHOHNDAでは「究極の」との意味合いのある車種には”X”をつける慣例があり、PCXとの名前になったようです。その名前からもHONDAがこのバイクに入れ込んでいたことがわかります。
PCXはそれまでのスクーターの常識を覆すデザインに加え、カタログ上の燃費は、53.0km/Lとなっていました。また一般的なスクーターは10インチのタイヤが主流なのに対し、グローバルモデルとして開発されたPCXは、欧州の石畳や東南アジアの悪路を走る事を想定し14インチのタイヤを採用したことも他メーカのバイクとの大きな違いです。加えてクラス初となるアイドリングストップ機能搭載したことも大きなトピックスです。
当然ながらこうした充実した装備を搭載することは車体価格が上昇する要因となります。しかしHONDAはタイの工場で生産することで低価格化を図ります。そして2009年11月にタイで、翌年3月に日本で発売となります。(型式:JF23)
そんなPCXは発売直後から爆発的に売れ、月産8,000台の生産計画であったにも関わらず、発売から3週間で7,400台以上を売り上げます。これによりHONDAは原付二種の分野で覇権を取り戻すことになります。
マイナーチェンジ
2012年にはマイナーチェンジを行い、ホンダの次世代小型スクーター用低燃費エンジンであるeSPを採用します。eSPエンジンではオフセットシリンダーを採用することで、フリクションロスが少ない構造となっています。(オフセットシリンダーに関する詳細はホンダのサイトをご覧ください) これによりわずかながら燃費と馬力が向上します。また合わせて高速道路の走行が可能な150㏄のモデルを追加します。(型式:KF12)
生産体制も月産8,00台から、月産19,000台に引き上げます。
2代目PCX(JF56/KF18)
HONDA はベトナム工場の稼働に伴い、グローバル生産体制の見直しを行います。前述の通り日本市場向けのPCXはタイ工場生産していましたが、それをベトナム工場に移管します。一方で技術力が向上したタイ工場にはより技術力の必要なスポーツタイプのバイクの生産を移管します。(ただし欧州向けや他地域向けのPCXの生産はタイ工場でも継続)
この生産体制の変更に合わせて、PCXは初めてのフルモデルチェンジを行います。ラインナップは、前モデル同様に125㏄(型式:JF56)と150㏄(型式:KF18)とします。2代目での主な変更点は以下の通りです。
- 灯火類をそれまでのハロゲンからLEDに変更
- ハザードランプの標準装備
- 燃料タンクを大容量化(5.9L->8.0L)
- メータに時計や平均燃費系を追加
- グローブボックスにシガーソケットを追加
燃料タンクの大容量化により航続距離が延び、カタログ上の燃費で計算すると一度の給油で400kmの走行が可能となります。今まで小生が乗っていた原付1種では、一度の給油での航続距離は100kmほどだったと言えばこの数値の凄さがわかるかもしれません。またシガーソケットが追加されたことにより、スマホの充電などの用途で電源が簡単に取れるようになりました。
初めてのフルモデルチェンジ後もPCXは引き続き人気車種として、原付二種の代表車種となっていきます。
3代目PCX(JF81/KF30/JF84)
2017年に開催された東京モーターショーでHONDAは、量産用バイクでは世界初となるハイブリッドシステムを搭載したPCX HYBRIDを発表し市場の度肝を抜きます。また併せて定格出力0.98kwのリチウムイオンバッテリーで駆動するEVのPCX ELECTRICも発表します。
そして翌年の2018年に新排気ガス規制、EURO4に対応した PCX(型式:JF81)、PCX HYBRID(型式:JF84)、PCX150(型式:KF30)の3車種を発売します。(->二輪の排ガス規制に関するお話はこちら) 一方でPCX ELECTRICに関しては、企業向けに注文生産となります。
3代目PCXでの主な変更点は以下の通りです。
- フレーム形式をアンダーボーン→ダブルクレードルへ変更
- ホイールを軽量化するとともに前後タイヤサイズをワイド化
- スマートキーシステムを採用
- メータパネルをデジタル化
少しマニアックな話ですが、1の変更はバイクの性能を大きく左右します。スクータでは、アンダーボーンと呼ばれるフレーム形状を採用するのが一般的です。両社の違いを画像で見るとこんな感じです。
左が2代目PCXのフレーム、右が3代目PCXのフレームです。一目でその違いが判るかと思います。エンジンを抱え込むような複雑なフレームワークとなっておりフレームのパーツ数も増えています。これによりフレーム剛性の向上が図られています。フレームはバイクの背骨ともいえるものですので、その強化は車体の安定感の増加に寄与します。またもう一つの大きな進化がスマートキーの採用です。いちいち鍵を取り出さなくても、ポケットにスマートキーを入れておくだけでエンジンの始動が可能となりました。
一方で世界初のハイブリッド・バイクとなった、PCX HYBRIDは価格は通常のPCXと比べると10万円ほど高くなりますが、発売当初は大きな反響を呼びました。ただカタログのWMTCモードを見ると、通常のPCXが50.7km/Lなのに対し、PCX HYBRIDは51.9km/Lと、燃費面ではハイブリッドになったメリットは大きくないようです。しかしハイブリッドになったことの恩恵は、スタート時の加速性に現れるようで、モータを併用することでスムーズに加速できるようです。
小生が購入したのは、そんな現行モデルの125㏄の三代目PCX(JF81)でした。
タイでの先行販売のことは
なんかのニュースで見たことを思い出しました
興味外のことなので
ま〜くさんの記事を読むまで
全く記憶の引き出しは開いていませんでした
3代目のフレームは
本当に素人目にも堅牢さがわかりますね
あさと さん
ご興味がないことですとニュースを聞いても、そのまま流してしまいますよね。それでもそういうことがあったという覚えている記憶力はさすがだと思います。
2代目までのフレームは以前のスクータを踏襲した感じでしたが、三代目で所謂オートバイのフレーム形状に近くなりました。通常はこの形状ですと収納が少なくなるのですが、しっかり前モデル以上の収納を確保したのは凄いと思います。
これだけフレームがしっかりとしていると
コーナーリングも安定していることでしょうね。
車もそうですが、フレームが一番大事です。
最近はフレームの無い車が多くて。
いはち さん
車もバイクもフレームが運転の際にどのような効果を与えるのか、いはちさんならお分かりかと思います。
近年の車はモノコックボディのものが確かに増えていますね。ボディサイズは小さくても室内空間を広く取るためには、モノコックボディは有効ですからね。ただ大きな事故の場合には不安も感じます。