密入国ミャンマー人を発端としたタイでの新型コロナ感染流行

世界的にさらなる広がりを見せる新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大ですが、タイでも例外でなくなってきました。

最近のタイにおけるCOVID-19の状況

タイでは昨年5月以来、全面的に外国人の入国を制限していたこともあり、国外からの帰国者を除くと国内感染は発生していない状況が100日ほど続いていました。その後、段階的に厳しい条件付きで、外国人の受入を再開するとそうした外国人が空港検疫などで、確認される感染者が確認されるようになっていきます。

しかしこの状況を一変させたのが、サムコットサコン県の集団感染です。サムットサコンはタイの水産業の中心となっている所で、漁船、魚市場、水産物加工工場などで多数のミャンマー人が就労しています。タイには100万人以上のミャンマー人労働者がいるとされていますが、密入国者も多いため実態は不明と言われています。そんなサムコットサコンの海鮮市場で働く、ミャンマー人労働者を中心とし、689人の感染者が昨年12月20日に確認されます。その後も、感染確認者は相次ぎ、瞬く間に1,000人以上の集団感染と認定されます。。

タイ当局はすぐにサムコットサコン県の封鎖をしますが、実態が掴めていないミャンマー人労働者は各地に感染を広げたようで、12月22日には以下のように各地で感染者が確認されます。

  • バンコク:9人
  • ナコンパトム県:6人
  • サムットプラカン県:3人
  • パトゥムタニ県:3人
  • サラブリ県:3人
  • ペチャブリ県:1名
  • チャチュンサオ県:1名
  • ウタラディット県:1名

首都バンコクに感染者が広がってしまうと、感染者の増大は止められません。連日数百人単位での感染者が報告されるようになります。今年1月3日にはバンコク都内の飲食店4店で集団感染が確認され、タイ各地に感染が広がる状況になってきました。

ロックダウンの動き

首都バンコクでの規制

こうしたタイ全土での感染拡大の動きを受け、各地でロックダウンの動きが広がります。バンコク都は2月29日から1月4日まで、店員が同席して接客する娯楽施設、競馬場などを閉鎖していましたが、1月2日から期間を定めずに以下の措置が取られる事となりました。

【施設の閉鎖】
・サービス施設、パブ、バー、娯楽施設、及び類似の施設
・遊園地、ウォーターパーク、子どもの遊戯場及び遊具
・スヌーカー場、ビリヤード場、ボードゲーム店、ゲーム店、インターネット店
・闘鶏場、闘牛場、闘魚場、及び類似の施設
・保育園、介護施設(宿泊を通常業務として含む施設は除く)
・ムエタイ競技場・練習場、武術学校、ジム、競馬場
・全ての競技場、フィットネス場
・浴場、個室付浴場
・宴会場及び類似の施設
・仏像のお守り及び仏像販売所
・児童養育施設
・美容増進施設(医科クリニックとして認可を受けていない施設)、刺青店
・スパ、マッサージ店
・ボーリング場、スケート場、及び類似の施設
・ダンス場、ダンス練習場
・(1月17日まで)学校施設、学習塾、全ての教育機関(人の集まる授業、研修、活動は禁止。オンライン授業の実施は除く)

この他にも飲食店や、コンビニエンスストア、百貨店、ホテルなどに関しては感染拡大防止措置を厳格に実施するように求めています。これは昨年5月にタイで初めて緊急事態宣言が出た時に次ぐ、厳しい措置となっています。

その他地域での規制

タイ東部ラヨン県では12月31日からロックダウンを宣言し、ショッピングセンター、パブ、バー、マッサージ店、カラオケ店、ジム、プール、博物館、教育機関、保育園、遊園地などを閉鎖する事を決めました。また飲食店に関してはテイクアウトのみを認めるとしています。

同じくタイ東部のチョンブリ県は、県内のパタヤ市を含むバンラムン郡で、ショッピングセンター、教育機関、遊園地、ジムなどを閉鎖し、イベントなどを禁止します。こちらも飲食店に関してはテイクアウトのみの営業を認めるとしています。

今後の展望

感染者の拡大が続く中では現在の厳しい措置の継続は続き場合によってはロックダウンの動きが広がることも考えられます。少なくとも数日に以内には夜間外出禁止令が出るのではと予想でしています。一方で国内観光活性化を目的として、今年の春節期間を祭日にするなどの、観光促進策も打ち出しています。

この感染拡大局面においての、アクセルとブレーキを同時に踏むような動きは、何処かの国の「GoToキャンペーン」を彷彿とさせます。タイや日本はもとより、全世界での早期の収束を願うばかりです。

(2021/1/5 追記)
1月4日午後になりタイ当局は以下の規制を追加しています

  • 飲食店内の飲食は6時から21時までとし、それ以降は持ち帰りのみとする
  • 酒類の店内提供禁止
  • 200人を超える会議・セミナー、300人を超える人が集まる大規模な活動は事前に届出が必要

4 responses on 密入国ミャンマー人を発端としたタイでの新型コロナ感染流行

  1. 鉄路迷 より:

    よくないですね。
    タイには当分なかなか行けそうにないですね。
    今年もダメかなあ。
    国内で旅行計画中です。

    1. ま~く より:

      Dr. 鉄路迷さん

      殆どはサムコットサコン県ではありますが、ここ数週間は連日200~500人の新規感染者が確認されています。こういう事があるとやはり外国人の流入には否定的になるでしょうね。
      我が家も訪タイは早くて再来年かななんて話になっています

  2. あさと より:

    アクセルとブレーキを同時に踏む・・・・
    大統領制の国では表ざた少ないですが
    日本のように首相と実質実力者が違うとか
    タイのように王権が政治に影響あったりした国では
    はっきりとそういうことが出てきますね
    なにが原因で広まるのかはっきりしない状況では
    自分がやったことの責任を取らなくてもわからないと考えるのかもしれません
    GOTOのことをけなす指揮者がテレビに出ても
    二〇氏の話までは持って行かないしね

    1. ま~く より:

      あさと さん

      日本の場合はこういう有事の際に、決断力もリーダシップもない人に国のトップが変わったことが不幸としか言いようがありません。

      タイの場合はやはり軍政が政権のベースという事がこの事態の中では良かったのかもしれません

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