一般的に日本人がイメージするタイ料理と言うと、トムヤンクンやグリーンカレー、パッタイ、パッドガイガパオ(鶏肉のバジル炒め)と言った物を思い浮かべる方が多いと思う。しかし日本でも関東と関西で異なる食べ物があるように、タイでも食べ物には地域差がある。
タイは大きく4つの地域に分けることができる。イサーン地方と呼ばれるタイ東北部、チェンマイを中核都市ととする山岳部の北部、バンコクを中心とした広大な平野の中部、そして地図では下にぶら下がったような形となっている南部である。それぞれの地域で文化的には違いがみられ、当然食文化についても地域ごとに特徴があるものとなっている。
<イサーン地方(東北部)>
隣国ラオスと国境を接するエリアで、ペッチャブーン、ドンラックと言う山脈とメコン川に囲まれた標高100~200mのコラート高原と呼ばれる台地地域である。タイでは温暖な気候を活かしコメの二期作を行う地域が多いが、イサーンでは痩せた赤土が広がるうえ降水量も少ないので稲作は年に1度のみで収穫量も多くない。タイの中でも貧しい地域とされており、それゆえかアリやバッタ、タガメやゲンゴロウと言った昆虫を食べる風習がある。民族的には隣国ラオスと同じラオ族なので食文化も共通している。
主食は長粒米のもち米(カオニャオ)で、これを蒸した物を素手で丸めて食べる。代表料理はソムタム(青パパイヤのサラダ)、豚や牛の生肉を使ったラープ、スップノーマイ(筍の和え物)などが挙げられるが、生の唐辛子を大量に使うため料理が辛い事でも有名である。
<タイ北部>
中国雲南省やミャンマーのシャン高原から続く平均標高1,500~1,800mほどの山岳地帯である。この地は多様な民族が住んでおり有名な首長族(カレン族)もこの地域の住人である。1901年に即位したインタウィチャヤーノン王により、チャクリー王朝(現、タイ王家)の支配下に入るまでは、ラーンナー王朝として独自の文化を有していた地域である。
主食はもち米であるが、豚肉やラードを使用した揚げ物が多く、ミャンマーやインドの影響が大きいとされている。代表的な料理はゲーンハンレー(豚肉とタマリンドの煮込み)、カオソーイ(ビルマ風カレー麺)、サイウワ(スパイシーソーセージ)等が有名である。
<タイ中部>
チャオプラヤー川を中心とした肥沃なデルタ地帯のタイ中部は、アユタヤ王朝時代から政治、文化、経済の中心地となっている。豊かな土壌と水、温暖な気候を活かしこの地域では年に2度の稲作を行う二期作を行っておりタイの穀倉地帯となっている。またタイ湾に面しているので、魚介類も豊富な地域である。
主食は長粒米のうるち米で代表的な料理はゲーンキョウワーン(グリーンカレー)、ゲーンペット(レッドカレー)、トムヤンクン、ヤムウンセン(春雨サラダ)、カイヤッサイ(タイ風オムレツ)など日本でもお馴染みの料理が多い。
ココナッツミルクや砂糖を多様するのでマイルドな味付けな料理が多い。華僑が持ち込んだ中華料理がタイ化し日常食となっているのはカオマンガイ(タイ風チキンライス)などでも見られる光景である。これらが昇華してスタイルとして完成したのが、アハーン・チャオワーン王宮料理となっている。
<タイ南部>
東をタイ湾、西をアンダマン海に面しマレーシアに至る細長く伸びた半島部分の地域である。イスラム教国家のマレーシアと接しているためイスラム教を信奉する住民も多く南部に行けばいくほど、タイ語よりもマレー語の方が通じやすくなる。
食事に関してはマレーの影響が強く見られ、ココナッツミルクや豊富な海産物を使った料理が多くなり、一方でイスラム教の禁忌に触れる豚肉料理は見られない。代表的な料理はサテ(マレー風串焼き)、ローティー(インド風クレープ)、パットサトー(サトー豆の炒め物)、ゲーンマッサマン(マッサマンカレー)などが挙げられる。ターメリックやカルダモンなどの他の地域では使われない香辛料を使い、イサーン料理とは違った辛さを楽しめる料理が多い。
日本と同じで南北に細長いこの国は
寒い土地もあれば暑い土地もあって
それぞれの食文化に違いが出るのでしょうね。
条件的には関東地方はタイ中部と同じかも
しれませんね。
私的にはこちらです。
すっかり大家となってますね。
まぁ環境がそうさせるのかもしれませんが(笑)
相変わらず辛いのは嫌いですが、料理のカテゴリとしては中華よりタイ・ベトナム料理の方が好きですね。
それでもルーツは中国だったりしますが(笑)
私が食べることのできる数少ない料理は
やはり中南部のものですね
ケーン類と中華の進化型です
東北部の料理は全く駄目ですが
北部のカオソーイを試したことがあります
ただバンコクのレストランで試したのではなく
チェンマイの市場の横の食堂で食べましたので
遠慮のない辛さに一口だけしか口にすることができませんでした(笑)
すごーい。
ま~くさん、自分で作っちゃうんだー。
北部の料理はやはり雲南省南部の料理に似てますね。
いはちさん
日本やベトナムのように南北に長い国はやはり地域性がそれぞれで
現れますね。加えてタイの場合は本文に書いたように北部は
近年まで別な国でしたのでなおさらです。
広大な平野に首都が存在すると言う条件は日本もタイも共通ですね
餌釣師さん
食レポに特化した別ブログがあるのですが、そこの傾向を見ると
全体の約25%がタイ料理、約15%が中華料理です。やはりタイ料理を
食べる機会が多いですね(笑)
タイには華人系の人も多いですし、炒め物の中には中華料理と
近い物も結構ありますね
あさとさん
カオソーイを本場のチェンマイで食べたならそれはそれは辛かった
事かと思います。しかも市場でなら完全に現地人仕様ですよね。
イサーンの料理も辛くないものもありますので、辛い物を
避けて食べる事は可能だと思います。中華なんかですと見た目は辛く
なさそうなのに食べてみると実は辛いなんて物がありますが、イサーン
料理の場合は、ちゃんと「俺は辛いぞ!」と主張していますから
見た目でも判別可能なのは助かりますね
Dr.鉄路迷さん
自分で食べたい物は自分で作るしかありませんので(笑)
地理的にはタイ北部は雲南省に近いですから、やはり共通点は
あるかと思います。現在の職場に近い所にも、雲南省出身の
ラオス人が営むタイ料理屋さんなんて変わったお店があって
そんな共通項の一端を感じる事ができます。
写真と記事を見ていたら……すごくお腹がすいてきました!
おいしそうな素敵な記事、ありがとうございます。
この中で私が未経験なのはイサーン地方で、本場のイサーン料理をいつか食べに行きたいと思っていて、今計画中です。1~2ヶ月以内に実現できたらいいなと思ってます( ´ ▽ ` )ノ
ところで、地方によって同じ料理でも味付けに違いがあるらしくて、プーケットの知人はバンコクの料理は味付けが舌に合わないと言っていました。私には、そんな微細な違いはさっぱり分かりません。というか、どこの地方で食べてもおいしいんですが……タイ料理はやっぱり最高ですよね。
Akikoさん
場所にもよりますが田舎の方へ行くと、イサーンは本当に、
なーんもないですよ。この時期は稲作もしていないので赤い大地が
広がっているだけです(笑)
私もバンコクの味とイサーンの味の違いは辛いと言う事以外はあまり
詳細には分かっていません。でもタイ人は明確に違いを分かっていますよね
タイ人って食に関しては保守的ところがあるのか、タイ料理であっても
自分の出身の以外の地方の料理を食べる事が少ない気がします。
そのため私がバンコクに行っても結局、イサーン料理ばかり食べる羽目に
なります(笑)