タイ政府と日本政府は、首都バンコクと北部最大の都市チェンマイを結ぶ670kmを高速鉄道について新幹線方式で建設する検討を進めてきました。しかしこの計画が頓挫しそうな状況になってきました。
事の発端は日本側が実施した採算性調査で、その結果によると採算性が極めて低く事業化した場合は慢性赤字に陥る可能性が高いとの結果が出たためと言う事のようです。タイ側は日本側に共同出資での建設を求めていたものの、日本政府は10月19、20日に来日したアーコム運輸相に対し出資に応じない旨を伝達したとの事です。
しかしこの計画自体がそもそも無理があったように小生には感じます。バンコクとチェンマイを結ぶ航空便はレガシーキャリアであれば、2,500THB、LCCであれば1,500THB程度から利用できます。またタイの一般庶民の足で最も需要の高い長距離バスの場合は、1,000THB程度の価格となります。新幹線方式の高速鉄道が、どの程度の運賃設定をしていたのかはわかりませんが、東京から岡山に相当する距離の運賃をLCCやバスと競争力のある運賃設定が出来るとは思えません。
加えてその沿線に大きな都市が存在しないのも問題です。2016年のタイの県別人口のベスト5を見ると以下のようになっています。
1位:バンコク都 569万人
2位:ナコンラチャシーマ県(東北部) 263万人
3位:ウボンラチャターニ県(東北部) 185万人
4位:コーンケン県(東北部) 179万人
5位:チェンマイ県(北部) 172万人
ちなみに6位から10位までも東北部の県が名を連ねます。バンコクは別にして人口の多い県は東北部であり、北部や南部の人口は多くなく高速鉄道を建設しても需要が見込めないのは明らかと言えます。そもそもこの計画自体がやはり無理があったと思わざるを得ません。
一方でその東北部についてはバンコクとノンカーイを結ぶ高速鉄道の計画があり、すでに2017年にフェーズ1としてバンコク-ナコンラチャシーマ間の250kmがタイ政府の全額負担で着工したものの、完工の目途は全く立っていないようです。こちらは、もし完成しても経路的に小生が恩恵にあずかることはなさそうですが、建設するのが中国企業という事で、その先行きも気になるところです。
はいおっしゃる通りですね
チェンマイとバンコク間は
東京~大阪より距離がありますから
台湾新幹線より少し安いほどの運賃設定をもってきても
2000バーツを下回ることはありません
そうなるとね
乗りませんね
外国人も本国からスタアラだと
バンコク行きもチェンマイ行きも値段は一緒のはずです
仰るように
途中に需要がある都市がないのも致命的でしょうね
台湾の場合
新竹と台中と台南があるので
なんとか赤字の額が今の程度なのでしょう
タイだと本当に
永遠に赤字が膨らんで行きそうです
中国が詐欺のような融資話で持ちかけて
ひっくり返したのもさもありなんです
あさとさん
やはりどう考えても、高速鉄道の運賃は2,000THB以上の価格になるでしょうね。そうすると本文にも書いた通り価格競争力はなく利用者は見込めません。
一般的なタイの庶民の感覚では、自分の街からバンコクへ行くときに考える選択肢は長距離バス、VIPバス、貸切ロットゥーと言った程度です。やはりこういった現地事情、国民のマインドを理解しないまま、計画だけが先行したように思います。
中国企業が受注したイサーン方面への鉄道も前途多難な気がしますね