山川・根占フェリー

鹿児島県は東の薩摩半島と西の大隈半島の大きな2つの半島が錦江(鹿児島)湾を挟む形となっていることは地図を見ればお分かりになるであろう。したがって大隈半島南端の佐多岬から、薩摩半島南端の指宿へ行こうとすると錦江湾をぐるっと回らなければならない。肉眼で見える反対岸に行くのに、遠回りするのはいかにも効率が悪い。と、言うことで活躍するのが薩摩半島の山川港と、大隈半島の根占港を結ぶフェリーである。

今回の親戚の法事では、親戚の家のある鹿屋市は大隈半島側であるが、薩摩半島の指宿のホテルに宿泊した。また前回に鹿児島を訪れた平成13年も同じホテルに宿泊した。このため、二度ともこのフェリーを大いに利用する事となった。しかしこのフェリーは一度廃止になったことがあるのだ。

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もともと山川-根占間のフェリーを運航していたのは地元の財閥である、いわさきコーポレーションである。しかし年間に数千億の赤字であるとして、平成14年に運行を取りやめ、運行していたフェリーを海外に売却してしまったのだ。これにより、それまでフェリーで50分でいけたものが、陸路を取ることにより5時間以上もかかるようになったのだ。

それはいかにも不便とのことで、すぐに地元の複数の自治体が共同出資してフェリーを再開しようと話し合うが、自治体同士の足並みがそろわず、なかなか再開されずにいた。それが昨年になってようやく、フェリーの運航が再開された。今回の鹿児島旅行にはかろうじて間に合った形である。しかし実際に乗船してみると課題は多そうである。

やはり一番の問題は乗客の少なさであろう。今回の旅行では合計で4回乗船したが少ない時は5台程度の車しかないことがあった。多くても十数台といった感じで、満杯になることは一度もなかった。同じ鹿児島の桜島フェリーが24時間運行し、時間帯によっては乗り切れない車が出ることを考えれば、その違いは歴然である。また乗客の少なさに反比例して船のサイズが大きすぎることも問題である。船が大きければそれだけ燃料を多く使うことになる。客が多ければ問題ないが、客が少ないと効率が悪いだけで赤字のスパイラルに陥る。

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また乗客の立場からするとこのフェリーは乗っていて楽しくないのだ。船の進行方向前方はすべて乗客が立ち入り禁止の区域になっている。したがって船の前方の景色を楽しむことができない。また船の大きさの割りには客室が狭いのも難点だ。加えて客室内には椅子まったくないのだ。客室内にはただ絨毯が敷いてあるだけの空間となっており、そこで横になるしかない状態だ。

甲板部分には椅子があるが、こちらは風通しが悪いうえに船の出す排気ガスで臭いのでくつろぐことができない。運行時間が50分もあるわけだから、もう少し快適に過ごせるように工夫をしてもらいたいところである。
蛇足ではあるが以前の船には、うどんの売店がありこのうどんが美味しかったのである。再就航後の船には売店がなくカップラーメンの自動販売機のみとなったのはさびしい限りである。



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