古河篆刻美術館

茨城県南西部にある古河市は、江戸時代には古河藩の城下町や日光街道の宿場町として栄えた場所である。近年では東京に比較的近い事から、東京のベットタウンとして栄え、土浦市に次いで茨城県で6番目の人口規模を誇る街である。

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この街出身の著名人に生井子華(いくい・しか)<1904年-1989年>という人物がいる。生井は日本近代書の草分け的な存在である西川寧に師事し、戦後書壇の第一線で活躍した人物である。そんな生井が古河市の出身であった事もあり、その没後に古河市に作られたのが篆刻美術館である。旧家の石倉を改装して作られた美術館は、一般的な美術館とは幾分違った趣を呈している。

常設展示はその設立の経緯もあり、生井子華の作品を中心に展示されている。小生の私見では生井の作品は、白文(文字の部分が白い印)の作品が特に素晴らしいと思っているが、そんな作品を多く目にする事が出来るのは嬉しい場所である。また篆刻にあまり馴染のない見学者にも、わかりやすく篆刻について解説したコーナーもあり、初心者にも配慮した展示となっている。

篆刻と言う広く一般では馴染のない分野の専門美術館であるが、近くに立ち寄られた際には足を運んで頂ければと思う。

古河篆刻美術館

篆刻美術館の建物は以前は酒屋の石蔵だった建物を活用しています

古河篆刻美術館

生井子華の白文の印はやはり素晴らしいです。

古河篆刻美術館

実際の印材とともに展示が行われているものもあります。


8 responses on 古河篆刻美術館

  1. いはち より:

    3階建ての石倉ですか~。初めて見ました。
    日本では文字の部分を浮き上がらせて掘る印鑑が
    ポピュラーですが、中国で印鑑を頼むと、この白文の
    印鑑で渡される事が普通ですね。
    篆刻を体験されたのでしょうか?

  2. 餌釣師 より:

    印というのは書物のカテゴリなんですね。
    まさにま~くさんとしては興味深い分野の展示なんでしょうね。
    余談ですが・・・
    以前上海で小さな白文印を作ってもらいました。
    印材はヒスイとの事でしたが、いわゆる日本でヒスイに分類されるものかは微妙でしたが、その印に小さな穴を開けて赤い紐をつけて首から下げられるようにしてあります。

  3. あさと より:

    篆書は書道の中でも
    覚えなければならないことが多い分野ですので
    どうしても敬遠してしまいましたが
    総合芸術だと考えれば
    やっておいた方が良かったかな・・・と今でも公開しています

  4. ま~く より:

    いはちさん
    観光客向けの印章店で白文印が多いのは朱文印より
    早く出来あがるからだと思います。
    以前は私自身も沢山の印を彫りましたが最近はご無沙汰しています。

  5. ま~く より:

    餌釣師さん
    印は「書物」ではなく「書」すなわち書道のカテゴリです。
    日展という芸術界の最高権威の展覧会でも、篆刻は「書」と言う
    カテゴリで出品されます。
    本文では触れませんでしたが、印材も様々な種類がありますので
    こちらを収集するなんてのも面白いです。

  6. ま~く より:

    あさとさん
    篆書は現在では殆ど使用される事がありませんので
    確かに学ばないと分からない部分もありますね。
    でもそれだけに知識が付いてくると見る楽しみも増えると思います。

  7. Dr.鉄路迷 より:

    古河ですか~。
    こりゃちょっと北上してくれればよかったに・・・。

  8. ま~く より:

    Dr.鉄路迷さん
    もう少し北上すれば共和国でしたね。
    このところの複数回の山中湖行で、かなりの距離を走るようになったので
    共和国は充分に射程圏内です。そのうち、、、


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