ラーマ10世即位

各種メディアでも伝えられている通り、タイで皇太子だったワチラロンコン王子が12月1日に即位しチャクリー王朝10代目の国王となりました。(チャクリー王朝の歴史はこちらをご覧ください -> 「タイ・チャクリー王朝の歴史」)

軍事政権は11月29日に閣議を開き皇太子のワチラロンコン王子に即位を要請する事を決議し、暫定国会は全会一致でこれを了承しました。これを受け12月1日に三権の長である、プラユット首相、ボンペット立法議会議長、ウィーラポン最高裁判所長官がプレム摂政(枢密院議長)とともに、ドゥシット宮殿で皇太子に謁見し即位を要請しました。皇太子はこれを受諾し即日で王位に即位しましたが、戴冠式は前国王の埋葬が終わる来年秋になる見込みです。

タイでは前国王が崩御すると、その日のうちに次の国王が即位するのが通例でした。しかし前国王の崩御直後の、プラユット首相による即位要請に対し、「弔いと決意を固める時間が欲しい」としてこれを留保したため、タイでは異例の国王不在と言う状態が続いていました。即位の12月1日は前国王の崩御から50日目にあたり、日本で言う四十九日が過ぎた日となりました。

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ただ新国王を取り巻く環境は必ずしも楽観できるものではありません。2014年のクーデター以来、タイでは軍政が続いています。軍事政権では民政復帰に向けて新憲草案を決議し、8月に国民投票で過半数の賛成を得ました。しかしその内容は民政復帰後も軍が政治に関与し続ける内容でありタイ国内では根強い反対があります。また実施された国民投票も、軍によって言論統制や様々な圧力下のもとで行われたもので国際社会からも問題視されています。軍事政権は国王の署名を得て年内に新憲法下での選挙を行う予定でしたが、前国王の崩御で国王の署名がおこなわれていない状態にあります。そもそもタイの政治混乱は、大多数の低所得者層と一部の富裕層の対立という側面もあり、その解消は容易ではありません。

前国王は度重なる政治的混乱に対してはその仲裁役としての役割も果たしてきましたが、新国王がどのようなスタンスをとるのかは未知数です。また前国王は国民に寄り添う姿で国民の深い敬愛を一身に受けてきただけに、そのあとを継ぐ新国王の前途は多難であると思われます。異国の地よりその動静には注意深く見守って行きたいと思います。

2 responses on ラーマ10世即位

  1. あさと より:

    この方を初めて目にしたのは
    今から20年近く前のアジア競技大会でした
    プミポン国王陛下の代理で開会式に出席されていたのですが
    少し落ち着きが足りないような王族に見えました
    もちろん
    世界の王族でも
    決して日本の皇族の様な妙な落ち着き?は少ないのはわかっているのですが・・・

    1. ま~く より:

      あさとさん

      前国王の在位期間が長かった事もあり、ラーマ10世が即位時点での年齢は64歳になりました。そう言う意味では前国王ほど在位期間は長くはならないと思います。ですので世論としてはラーマ10世の末子である、ティーパンコーンラッサミーチョート王子にも注目が集まっているようです。2005年産まれの王子ですのでまだ幼少ですが、健やかに成長され品格溢れる王族となって頂きたいものと思います


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