ヤソートン観光(1) パヤーカンカーク博物館(พิพิธภัณฑ์พญาคันคาก) -タイ怪像録 Vol.26-

5月1日(4日目) Ⅲ

ヤソートンの中心部はタイにありがちな蛇行する川に囲まれた土地となります。まず最初に向ったのは、ヤソートンの一番の観光地ともいえる『パヤーカンカーク博物館』です。

場所は上の地図のようにダム湖のように川幅が大きく膨らんだ場所の畔になります。ここに巨大なガマガエル像が立っているのです。これを理解するには、まずヤソートンに残る神話を紹介しないといけません。

ある夜、この国のお妃であるシーダー妃が奇妙な夢を見たのちに子供を身籠ります。しばらくして生まれてきたのはカエルの顔をした赤ん坊でした。王と妃はとても心配になり占い師に診てもらうと「この王子は将来この地に必ず繁栄をもたらすであろう」と言われます。

王子はヒキガエルを意味するパヤー・カン・カークと名付けられ、立派に成長し人間、動物、天使、悪魔界の中で最強の王となり、すべての生き物から尊敬を集める存在になります。

ところがこれに嫉妬し良く思わなかったのが、天空に住み空を司る神であるパヤー・テーン(พญาแถน)でした。パヤー・テーン人間たちを困らせてやろうとナーガ(蛇神)を操り雨を一切降らせないようにしたため、地上では飢饉が発生し、人々は飢えで苦しむことになります。

パヤー・カン・カークはパヤー・テーンに使者を送り、雨を降らすように依頼しますが交渉は決裂し両者は戦うことになりました。激しい戦いの結果、パヤー・カン・カークが勝利し、地上からロケットを打った時に必ず雨を降らせるよう、パヤー・テーンに約束させました。

前回も紹介したヤソートンのブンバンファイ(ロケット祭り)は、この神話に基づく雨乞いの祭りで、イサーンで田植えを控えた5月上旬に行われるのです。このような神話があることもありガマガエルは、ヤソートンの街のシンボルにもなっています。

パヤーカンカーク博物館はそんな街の象徴として2015年に建設された、巨大なヒキガエルの形をした博物館です。近年、イサーンの観光地を調べていると写真を目にする機会が多くなってきたことから、一度行ってみたいと思っていた場所でした。

まずは近くの駐車場に車を停めます。無料かなと思って車を停めたのですが、しっかり駐車料金を取られました。確か20THB(約66JPY)だったと思います。

敷地内に入ると謎のスーパーヒーローが迎えてくれました。このスーパーヒーロー、よく見るとオッサンですし髪の毛も薄いです

スーパーヒーローをやり過ごし右手に進んでいくと目的の巨大なカエルが姿を現します。

記念撮影をする場所jが設けられていますね。でもここで写真を撮ってもカエルの斜め後ろの姿しか写りません。なぜカエルの顔が写る場所に作らなかったのでしょうね

正面にやってきました。思った以上に大きいです。高さは約19メートル(ビルの5階分に相当)あるそうです。

口の部分は展望台になっているようです。博物館ですのでなかに入ることができます。入場料は無料ですが、変わっているのは入口で靴を脱いで入場します。

展示の内容は、まず前述したパヤーカンカークの伝説があります。解説はタイ語と英語であります

そして世界のヒキガエルの標本です。ヒキガエルってこんなに種類がいるのを知りませんでした。

階を上がるとロケット祭りに使われるロケットの模型が展示されています。

その隣には蝋人形でロケット祭りの様子が再現されています

更に上層階に上ると展望台となります。先ほどのカエルの口の部分ですね

展望台からはこんな景色が楽しめます

同じ敷地内にはこれまた大きなナーガの形をした建物があります。

カエルの建物を降りて裏に回ると、やはりロケット祭りの様子が再現された人形が並んでいます。

祭りの列の最後尾には、ロケットを運ぶ山車がありました。

先ほどのナーガの建物に近づいてみると、なかはまだ工事中のようで入れませんでした

建物はとても奇抜なものですが、博物館としての展示内容は良く考えられたもので、ヤソートンの街を理解するためには良いものと感じました。まだまだ来場者も少ないようですので、穴場的なスポットのように感じました。

この日は暑季という事もあり40度以上の気温になっていました。駐車場に戻ってくると、こんなお店がありましたので冷たいものをいただきます。

ココナッツ味のアイスです。トッピングは自由に選べるスタイルでした。

6 responses on ヤソートン観光(1) パヤーカンカーク博物館(พิพิธภัณฑ์พญาคันคาก) -タイ怪像録 Vol.26-

  1. 鉄路迷 より:

    そっかあ、
    それでカエルさんなんですね。
    もしかしたら、現代ではこの王子は口蓋裂だったのかもしれませんね。
    けっこう東南アジアでは今でも多いんですよ。
    なんどかうちの大学からも治療チームではなく、「治療の仕方を教える」ために行っています。

    長閑な場所ですね。
    私にはバンコクよりこういう所の方が好きです。
    タイ旅行は以降はこういう地方の滞在型になりそうです。

    1. ま~く より:

      Dr.鉄路迷 さん

      口蓋裂は見た目はちょっと強烈なのでインパクトが強いですが、きちんと治療すればかなり治るようですね。我が家は高齢出産でしたので先天性の病気が怖く、その手の病気についてはいろいろ調べたことがあります。今となってはご存じの通り全くの杞憂でしたが。

      地方滞在も3日ぐらいなら良いのですが私のように1週間以上もいると流石に飽きますよ(笑)

  2. あさと より:

    或いは
    天然痘とかアトピーとか……
    それか思いっきり不細工かでしょうね
    イサーン地方でなおかつ不細工となると
    ヒキガエル位に例えられても想像はつきます
    しかし
    崋圏の遊園地のような色彩ですね
    靴を脱いで……と言うのは
    雨季のことを考慮してるのかも

    1. ま~く より:

      あさと さん

      博物館の建物は見た目のインパクトは大きいですし、ブログのネタ的な部分もあっての訪問でしたが、展示内容ななかなか秀逸なものでした。よくある奇をてらっただけのものとは違い真面目な展示内容です。

      タイに行っていると寺院を参拝することも多く靴を脱いで、建物のなかにはいるというのに違和感を感じなくなってきますが、そのようなことも配慮としてあるのかもしれませんね

  3. いはち より:

    なるほど。それでロケット祭りまで繋がるのですね。
    そこまでテレビでは説明が無かったですね。
    それにしてもスーパーヒーローはおかしな像です。
    意図的なのでしょうけどね。
    のんびりとしていそうです。

    1. ま~く より:

      いはち さん

      ロケットがバンバン打ちあがるという派手なお祭りだけに、そのことばかりに目が行きがちですが、ずっと続いているお祭りにはきちんと意味があるということがわかる博物館でした。テレビなんかですと尺の関係もあってそのあたりをきちんと伝えない場合も多いですね

      タイには得てして意味不明な像が建てられたりしているのですが、ここもそんな感じのものがありました


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